2024年度の全国設備投資動向について総括的に分析した調査結果を報告したものです。
本調査は日本政策投資銀行が1956年より継続実施している設備投資計画調査の2024年度結果を総括し、日本経済における設備投資の動向と特徴について詳細な分析を提供しています。調査対象企業9,140社、回答企業5,238社(回答率57.3%)という大規模なサンプルに基づく信頼性の高いデータとして、2024年度の設備投資実績と2025年度の投資計画が包括的に分析されています。
2024年度の設備投資実績では、製造業、非製造業ともに前年度を上回る投資水準を記録し、特にデジタル技術の導入、脱炭素化への対応、サプライチェーンの強靭化などを目的とした戦略的投資が大幅に増加したことが確認されています。業種別では、半導体関連産業、自動車関連産業、情報通信業、エネルギー産業、物流業などでの投資拡大が顕著であり、日本経済の構造変化と競争力強化の動向が明確に示されています。
地域別の投資動向では、首都圏を中心とした関東地域での投資規模が最大となった一方で、九州地域での半導体関連投資、中部地域での自動車関連投資、近畿地域での万博関連投資など、各地域の産業特性を活かした投資が全国的に展開されていることが確認されています。
投資目的の分析では、生産能力拡大(38.2%)、効率化・省力化(31.7%)、新製品・新技術開発(28.4%)、環境対応(24.6%)、デジタル化対応(22.8%)などが主要な投資理由として挙げられており、企業の多様な経営課題への対応と将来成長に向けた投資姿勢が確認されています。
2025年度の投資計画については、2024年度実績を上回る投資水準が計画されており、特にAI・IoT技術の本格導入、カーボンニュートラルに向けた設備更新、国際競争力強化のための研究開発投資などが重点分野として位置づけられていることが明らかにされています。
企業規模別の分析では、大企業だけでなく中堅企業においても積極的な設備投資が計画されており、日本経済全体での投資意欲の高まりと、中長期的な成長戦略への取り組み強化が確認されています。
記事は、日本経済の設備投資動向を最も包括的に把握できる基幹統計として、経済政策の立案、企業の投資戦略策定、金融機関の与信判断などに不可欠な基礎資料を提供していると評価しています。