統計調査の概要と意義 内閣府経済社会総合研究所が令和7年8月20日に発表した機械受注統計調査報告は、令和7年6月実績および同年7~9月見通しを対象とした重要な経済統計である。この調査は日本の設備投資の先行指標として位置づけられ、景気動向の把握と経済政策立案において不可欠な役割を担っている。調査結果は概要、本文、グラフ、計数表、見通しの各PDF形式と、CSV・Excel形式の統計表により詳細に公表され、幅広い利用者のニーズに対応している。
調査方法と分析体系の詳細 機械受注統計調査は、全国の機械製造業者を対象とした標本調査として実施されており、需要者別受注額(季節調整系列・原系列)、機種別受注額(大分類・中分類)、機種別販売額、機種別受注残高、受注残高手持月数など多面的な分析項目で構成されている。特に「船舶・電力を除く民需」は設備投資の先行指標として最も注目される指標であり、民間設備投資の将来動向を3~6か月先行して示すとされている。調査票は製造業者の受注実績と今後3か月の見通しを詳細に収集し、業種別・機種別の克明な分析を可能にしている。
季節調整手法の高度化 令和7年1月調査において季節調整値の全面的な改訂が実施され、統計の精度と信頼性が大幅に向上した。季節調整系列は過去に遡って改訂され、次回改訂までは予測指数による季節調整手法を採用している。この手法により、季節変動要因を除去した基調的な動向把握が可能となり、短期的な変動に惑わされない中長期的な設備投資動向の分析が実現されている。機械受注の季節調整に関する詳細な解説文書とグラフも別途提供され、利用者の理解促進が図られている。
長期時系列データと政策活用 2005年4月からの主要長期時系列統計表がExcel形式で整備され、主要需要者別機械受注額、機種別機械受注額、製造業・非製造業・官公需業種別受注額、見通し達成率など包括的なデータベースが構築されている。さらに携帯電話を除く主要需要者別の特別長期時系列(1987年4月~2005年3月)や、内訳項目の季節調整値を合計した「船舶・電力を除く民需」の特別集計も参考資料として提供されている。これらのデータは日本銀行の金融政策、財務省の予算編成、経済産業省の産業政策などの政府政策決定において基礎的な判断材料として活用され、企業の設備投資計画策定や金融機関の融資判断にも広く利用されている経済統計の中核を成している。