最新データに見る実質輸出入の動向分析
日本銀行調査統計局が2025年8月20日に更新した「実質輸出入の動向」データベースについて、2025年7月分までの最新データを含む詳細分析結果が明らかになりました。この統計は価格変動の影響を除去した実質ベースでの輸出入動向を把握する重要な経済指標です。
2025年7月の実質輸出入実績
実質輸出指数: 115.7（2020年=100） 実質輸入指数: 109.5（2020年=100）
2025年7月の実質輸出は前月比4.3%減少し、6月の121.0から115.7へ低下しました。一方、実質輸入も前月比4.6%減の109.5となり、6月の114.8から大幅に減少しています。この両指数の同時低下は、夏季における一時的な貿易活動の鈍化を示唆しています。
年間トレンドと比較分析
前年同月比では実質輸出が2.6%増、実質輸入が1.6%増となり、堅調な成長基調を維持しています。2024年7月の輸出指数112.8、輸入指数107.7と比較すると、輸出入ともに着実な拡大傾向が確認されます。
直近6か月間（2025年2-7月）の平均値は、前半6か月（2024年8月-2025年1月）と比較して輸出が3.3%、輸入が2.6%上昇しており、中期的な成長軌道が継続しています。
歴史的水準との比較
実質輸出は2025年2月に過去最高の122.5を記録しており、7月の115.7は過去最高から5.5%下回る水準です。実質輸入は2025年6月の114.8が直近ピークで、7月は4.6%下回っています。これらの指数はいずれも2020年基準（100）を大きく上回り、コロナ前水準を回復している状況を示しています。
データ作成手法と分析価値
この統計は財務省「貿易統計」の名目輸出入を、日本銀行「輸出入物価指数」で割ることで価格変動を除去し、8分類システム（食料品、織物用糸・繊維製品、化学製品、金属及び同製品、はん用・生産用・業務用機器、電気機器、輸送用機器、その他）で実質化を行っています。季節調整にはX-12-ARIMAを使用し、実質GDP統計との整合性を確保しています。
この実質輸出入統計により、名目値では見えない実際の貿易量の変化を正確に把握でき、景気動向の判断や経済政策の効果測定において重要な基礎データとなっています。特に2025年前半の輸出入拡大基調は、日本経済の対外競争力回復と内需の堅調さを同時に示す重要な指標として注目されます。