韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が8月15日の光復節式典で行った祝辞において、日韓関係の今後の展望について表明した内容を解説したものです。
日韓関係の基本方針
李大統領は日韓関係について、「国益中心の実用外交の原則に基づき、シャトル外交を通して頻繁に話し合い、率直な対話を積み重ね、日本と未来志向の共存共栄の道を模索していく」と明確に述べました。この発言は、従来の歴史問題中心の対立構造から、実利を重視した建設的な関係へと舵を切る意向を示しています。また、「私たちの周りには、依然として過去の歴史問題で苦しんでいる方々や、立場を異にする対立も存在する」としつつも、「日本は同じ庭を使う隣国であり、経済発展の重要なパートナーである」と位置づけました。
国交正常化60周年の意義と人的交流の拡大
2025年が日韓国交正常化60周年であることを踏まえ、李大統領は「歴史問題を直視しつつも、未来に進む知恵を発揮すべき時である」と表明しました。両国関係の発展を示す具体的データとして、国民間の年間往来数が60年前の1万人から現在では1,200万人へと120倍に拡大したことを挙げ、民間レベルでの交流の深化を強調しました。この数字は、政治的対立を超えた両国民の相互理解と交流の拡大を象徴的に示しています。
技術協力と未来共創の方向性
李大統領は両国の産業発展における協力の歴史を振り返り、「韓国と日本が産業発展の過程で共に成長してきたように、両国が信頼をもとに未来に向けて協力する時、超格差人工知能(AI)時代における課題についても、両国が連携して乗り越えていけるだろう」と述べました。この発言は、従来の製造業中心の協力から、AI・半導体など先端技術分野での新たな協力関係の構築を展望したものです。
首脳会談への展望と国際的評価
聯合ニュースは、今回の祝辞について「李大統領が祝辞で未来志向的な韓日関係に重きを置き、石破総理も追悼の辞の歴史関連内容に変更を加えた。韓日首脳は来週日本で開かれる首脳会談でも関係強化の基調の中でさまざまな協力案を議論する見通しだ」と報道し、8月23日に予定されている日韓首脳会談への前向きな影響を指摘しました。
内政・外交の総合戦略
祝辞では日韓関係以外にも、韓国と北朝鮮における緊張緩和と信頼回復の追求、半導体・AIなど先端科学技術の育成、エネルギー転換、文化・ソフトパワーの強化などについても言及し、「世界をリードする韓国、平和と繁栄に満ちあふれた国、国民主権の光が放ち続ける国を目指して、国民の皆さま、共に歩みましょう」と包括的な国家ビジョンを提示しました。
記事は、解放80周年という節目の年に、李大統領が歴史認識を維持しながらも実用的な日韓協力を重視する姿勢を明確に示し、両国関係の新たな発展段階への転換点となる重要な祝辞であったと結論づけています。