経済産業省経済解析室が2025年8月12日に公表した第3次産業活動指数を用いたプロスポーツ興行の分析レポートです。
プロスポーツ興行の回復状況
第3次産業活動指数によると、プロスポーツ興行指数は2020年第2四半期(4-6月)に「相撲」「ボクシング」「プロ野球」「サッカー」「ゴルフ」「バレーボール」「バスケットボール」の公式試合がすべて中止となり指数値が「0」を記録しました。その後、入場者数の上限を設けながら再開し、2024年にはコロナ禍前の水準を超えて順調な回復を示しています。
バスケットボールの顕著な成長
2024年のプロスポーツ入場者数では、プロ野球が最多の2668万人(セ・パ両リーグ合計)、サッカーが773万人(J1)に続き、バスケットボールが362万人(B1リーグ、2024-25シーズン)となっています。いずれもコロナ禍前の2019年を上回っていますが、特にバスケットボールの成長が顕著です。
Bリーグの拡大と効率性向上
現在のBリーグは2016年に野球・サッカーに続く第3のプロリーグとして設立されました。B1は当初18チーム60試合(ポストシーズン含めて562試合)でスタートし、2020-21シーズンからチーム数が増加、2024-25シーズンは24チームで737試合まで拡大しています。
注目すべきは、チーム数・試合数増加に加え、1試合当たり入場者数も大幅に向上していることです。18チーム構成だった2019-20シーズンまでは1試合当たり3000人超でしたが、2024-25シーズンには約5000人に達しています。
成功要因の分析
Bリーグの躍進の背景として、従来の「スポーツビジネス」の枠を超えたバスケ・地域・企業の三位一体成長を実現するビジネス改革が挙げられます。具体的な取り組みとして:①放映権料やスポンサー収入に加え、地域連携強化による収入確保、試合データ・ファンデータ分析によるマーケティング強化、②地元貢献・地元企業との連携、アリーナの地域交流拠点としての活用、③音楽・映像を駆使したエンターテイメント性の高い演出、日本代表選手や海外有名選手の獲得による高度な試合実現、条件付き写真撮影可能によるファン拡大、④日本代表のオリンピック等国際大会での活躍による注目度・知名度向上があります。
記事は、Bリーグが先行プロスポーツを単純に追いかけるだけでなく、参入チームに入場者数や収益面の条件を課すなど独自性を持ち、2026年シーズンに向けたビジョンも明確化されていることを評価し、今後の注目とともに試合観戦を推奨しています。