労働政策研究・研修機構(JILPT)による、インドのギグワーカー数の将来推計に関する報告です。V・V・ギリ国立労働研究所の分析により、2047年までにギグワーカーが大幅に増加し、インド経済の重要な担い手となる一方で、労働条件や社会保障の課題が深刻化することを示しています。
主要なポイント
1. ギグワーカー数の将来推計
- 2047年のギグワーカー数:中位推計で6,160万人(非農業労働力の14.89%)
- 低位推計:3,250万人(技術混乱や経済ショック等のマイナス要因を想定)
- 高位推計:9,080万人(プラットフォーム企業の急拡大を想定)
- 最大6,000万人程度の振れ幅が存在
2. 過去から現在の成長動向
- 2019-20年:680万人
- 2020-21年:770万人
- 2029-30年:2,350万人(NITI Aayog推計)
- 2018年の非農業部門労働力に占める割合:2.01%から急増
- 2030年から2047年の17年間で2倍以上の幾何級数的増加を予測
3. 主要なギグエコノミー企業と職種
- ライドシェア:Ola、Uber
- フードデリバリー:Zomato、Swiggy
- eコマース:Amazon、Flipkart
- 専門サービス:Urban Company(美容、清掃、修繕等)
- 医療、教育、クリエイティブサービス、専門コンサルティングへ拡大
4. 技能レベルの二極化傾向
- 2020年時点:中技能労働47%、低技能労働31%、高技能労働22%
- 2030年以降:中技能労働者の割合が低下
- 低技能労働者と高技能労働者への二極分化が進行
- 労働市場の分断化が加速する可能性
5. 労働条件と収入の実態
- ギグワーカーの60%が週7日勤務
- 47%が副収入のため1日12時間以上労働
- 一般的な配達員:月額20,000~25,000ルピーの手取り収入
- 専門サービス:月額20,000~35,000ルピーの手取り収入
- 82.5%以上がインフォーマル就労者(社会保障適用外)
6. 経済成長への貢献と課題
- GDP成長を最大2,500億ドル(1.25%)押し上げる可能性(BCG調査)
- 非農業部門で最大9,000万人の雇用創出の可能性
- 2047年までの先進国入りを支える推進力として期待
- 社会保障の欠如、アルゴリズムの非対称性、報酬の不確実性など11項目の課題
記事は、インドのギグエコノミーが急速に拡大し経済成長の原動力となる一方で、労働者の権利保護や社会保障の整備が追いついておらず、法的枠組みの確立が急務であることを明らかにしています。