米メキシコ高官会談の実施
米国のマルコ・ルビオ国務長官は9月3日、メキシコを訪問し、クラウディア・シェインバウム大統領と会談を行った。両者は強固なパートナーシップを再確認するとともに、以下の重要課題での連携を再確認した:
安全保障協力の重点分野:
- 麻薬組織の解体
- フェンタニルのまん延対策
- 国際犯罪組織による暴力への対処
- 不法移民の終結
- 経済の繁栄と安全保障の促進
両国政府は同日、共同声明を発表し、これら安全保障分野の問題に関する取り組みを定期的にフォローアップするためのハイレベルな協議体を新たに設置したことを明らかにした。
米国関税措置の現状
米国は2025年3月から不法移民や違法薬物の流入対策を目的に、メキシコ原産品に対して25%の追加関税を課している。ただし、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の原産地規則を満たす場合には、追加関税は適用されない。
関税引き上げの動向:
- トランプ大統領は追加関税率を30%に引き上げる意向を表明
- 両国首脳は引き上げを8月1日から90日間延期することで合意
- 今回の会談では、関税措置に関する具体的言及はなされなかった
USMCA見直しプロセスの展望
米国連邦議会下院の歳入委員会所属議員が9月3日、ワシントンでメキシコのマルセロ・エブラル経済相と会合を開催し、USMCAを議題に協議した。
協定の見直しスケジュール:
- 2026年7月に協定の見直しを実施
- 3カ国が延長に合意した場合、2042年7月まで延長
- いずれかが合意しない場合、以降毎年見直しを実施
戦略国際問題研究所(CSIS)の2025年8月報告書では、トランプ政権下での2026年7月の見直しについて「単純な延長合意は最も可能性の低い結末」と分析している。
予想される交渉焦点:
- 自動車の域内原産割合(現在75%)の引き上げ
- 米国原産材料の最低含有基準設定
- 中国を念頭においた対内投資審査メカニズムの創設
- 対中政策の3カ国間連携強化