【BRICS臨時首脳会議の開催】 南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は9月8日、ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領が呼びかけたオンラインでのBRICS臨時首脳会議に出席した。中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も出席したが、インドのナレンドラ・モディ首相は欠席した。
【米国関税措置への批判】 一方的措置への懸念として、ラマポーザ大統領は冒頭、米国の相互関税措置を念頭に「一方的な関税措置は、ますます保護主義的な環境を助長し、グローバルサウス諸国に大きな困難と危険をもたらしている」と批判した。
南ア経済への影響では、「南アでは新たな貿易体制の不確実性は既に雇用水準に悪影響を与え、経済成長の障害となっている」との深刻な認識を示した。直接的な米国批判は避けつつも、ルールに基づかない一方的措置がグローバルサウスに大きな打撃を与えているとした。
【BRICS結束と多国間主義の強化】 BRICS連携強化として、「BRICS諸国およびグローバルサウス諸国の経済の強靭性を向上させ、世界的な多国間システムを強化するBRICSイニシアチブを支持する」「BRICS諸国は、多国間システムの強化において重要な役割を担うべき」と表明した。
WTO改革支持では、「南アはWTOが主導する改革イニシアチブへの支持をあらためて表明する」「BRICS諸国はWTOで行われている改革を支持しなければならない」と述べ、貿易ルールに関する多国間での協議や意思決定を尊重する意向を明確化した。
【G20議長国としての新イニシアチブ】 アフリカ初のG20議長国として、南アは2025年に、アフリカ諸国で初めてのG20議長国を務めており、ラマポーザ大統領は「G20にアフリカの声を届ける」との意気込みを表明している。
世界不平等特別委員会では、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授を委員長とする「世界の富の不平等に関する独立専門家特別委員会」を立ち上げ、世界の不平等に関する報告書をG20首脳に提出する予定と発表した。
【米国側からの強硬な反応】 米経済顧問の発言として、ドナルド・トランプ米大統領の経済顧問を務めるピーター・ナバロ氏がメディアに対し、「BRICS諸国は不公正な貿易慣行で米国の血を吸い尽くす、吸血鬼だ」との辛辣な言葉で不快感を表明した(9月9日付インド経済紙「エコノミック・タイムズ」)。