財務省は2024年12月に、日本及び諸外国(米国・英国・ドイツ・フランス)における決済環境の現状・課題について、各種決済手段の特徴や普及割合、法的枠組み、民間事業者のサービスや収益モデル、ステークホルダー毎の利用動向等を調査・分析した報告書を公表したものです。
主要なポイント
調査の背景と目的
- 経済・社会のデジタル化とキャッシュレス決済の普及が進む中、諸外国でCBDC(中央銀行デジタル通貨)の検討が本格化
- 日本では2023年12月に有識者会議の「取りまとめ」、2024年4月に「中間整理」が行われ、CBDCと他の決済手段の役割分担が主要論点の一つに
- 「経済財政運営と改革の基本方針2024」では、諸外国の動向等も踏まえた検討の深化が求められている
- 本調査は日本におけるCBDCの検討を進めるための一助となることを目的として実施
調査対象と範囲
- 調査対象国:日本、米国、英国、ドイツ、フランスの5カ国
- 決済手段の種別:電子マネー、QRコード決済、現金、銀行振込/口座振替、デビットカード、クレジットカード、BNPL(Buy Now Pay Later)、暗号資産、ステーブルコインの9種類
- 各決済手段について、プリペイド方式、即時払い、後払い等の特徴を詳細に定義
- 例として、電子マネーはSuica等の交通系やWAON等の小売流通系、QRコード決済はPayPay、楽天ペイ等を対象
調査の観点と方法
- 4つの調査観点:①各種決済手段の機能や役割、②民間決済事業者の動向、③ステークホルダー(利用者・店舗)ごとの利用動向、④各種決済手段の選好と課題の分析
- 調査方法:公知文献調査(中央銀行や金融規制当局等の公表情報)、有識者へのヒアリング調査(米英独仏の4カ国対象)、SNS分析(X等での消費者の評価・印象を分析)
- 決済媒体、取引方法、利用可能場所、決済タイミング、保有・決済上限金額、オフライン決済可否、身元確認、匿名性等の詳細な仕様を調査
記事は、CBDCの導入検討において、現金、銀行預金、電子マネー、QRコード決済等の各種決済手段が適切に機能し共存することで、利用者の選択肢確保と利便性向上、決済システム全体の安定性・効率性確保が重要であることを示唆している。