財務省は令和6年度のたばこ小売販売業調査の結果を公表し、全国のたばこ小売販売業者の営業形態、経営者の年齢構成、後継予定者の有無、取扱商品の種類等の実態を明らかにしたものです。
主要なポイント
調査概要と回収状況
- 全国(沖縄県を除く)のたばこ小売販売業者から標本理論に基づく無作為抽出により4,400店を調査対象に選定
- 2,790店から回答を得て、回収率は63.4%
- 調査結果は母集団に復元した推計値として集計
- たばこ事業法附則第10条(昭和60.4.1許可)と第22条(昭和60.4.2以降許可)の店舗別に分析
経営者の高齢化と後継者問題
- 経営者の年齢は「70歳~79歳」が24.6%で最も多く、次いで「60歳~69歳」が24.3%
- 60歳以上の経営者が全体の約半数を占める高齢化の実態が明らか
- 後継予定者が「有」の店舗は37.0%にとどまり、「無」が63.0%と過半数を超える
- 経営者の高齢化と後継者不足が業界の構造的課題として浮き彫りに
営業形態の多様化
- 「コンビニエンスストア」が37.9%で最も多く、業界の主要な販売チャネルに
- 「酒類販売業」が11.2%、「百貨店・スーパー」が10.4%、「たばこ専業店」が10.2%で続く
- たばこ専業店は全体の約1割にとどまり、他商品との併売が主流
- 自動販売機を設置している店舗は26.7%で、73.3%は店頭販売のみ
取扱商品の変化と売上規模
- 現在取扱っているたばこは「紙巻きたばこ」が99.3%でほぼ全店舗、「加熱式たばこ」が72.9%
- 直近5年間で新たに取扱い始めたたばこは「加熱式たばこ」が20.6%で最多
- 73.5%の店舗は新たな種類の取扱いを開始していない
- 年間売上高は「1,201万円以上」が37.8%で最多、「100万円以下」が22.9%、「101~200万円」が10.7%と二極化
記事は、たばこ小売販売業界がコンビニエンスストアを中心とした業態に変化し、経営者の高齢化と後継者不足、加熱式たばこの普及という構造変化に直面していることを示している。