欧州自動車工業会(ACEA)は9月1日、電気自動車(EV)用バッテリーの現地調達率法制化について提言書を発表した。欧州委員会が「クリーン産業ディール」でクリーンテック市場振興を目的に公共・民間調達での価格以外の基準導入を提案し、3月の「自動車部門産業行動計画」でバッテリーの域内生産拡大に向け域内調達率規定の設置方針を示したことへの対応だ。
ACEAは高い域内調達率の目標設定は域内バリューチェーン構築の「特効薬」ではないと欧州委を牽制し、エネルギー価格引き下げ、許認可効率化、労働者技能向上・確保などを含む包括的取り組みが必要と強調した。定義や対象製品、適用開始時期を明確化しなければサプライチェーン混乱や競争力低下につながると指摘している。
法制化に当たっては以下の観点を考慮するよう提言:(1)バッテリー規則など現行法令との一貫性確保と重複回避、企業報告要件の最小化(2)十分なリードタイム設定と車種ごとの開始時期・内容設定(3)域内調達義務化の場合、生産コスト上昇相殺のための国家補助や優遇税制措置などインセンティブ実施(4)締結済みFTAやWTOルールの原産地規則に基づく設定(5)域内調達率計算での第三国製品を含める条件の慎重検討(6)関税分類変更が事務負担最小の選択肢、技術進歩に合わせたルール設計、事業者負担増を招く付加価値基準策定の回避。域内産自動車の約3分の1は輸出されている現状とバッテリーバリューチェーン構築には域外企業協力が不可欠な点も考慮を求めた。