ガーナ発のゲームスタジオ「レティ・アーツ」への取材を通じて、アフリカにおけるゲーム産業の可能性と日本企業との協業機会について分析したものです。
アフリカのゲーム市場は急速に拡大しており、アフリカのデジタルコンテンツ提供企業Carry1stとゲーム・モバイル市場調査専門のNewzooによる報告書によると、2024年には前年比12.4%増の18億ドルに達し、その成長率は全世界（前年比2.1%増）の約6倍を記録しています。アフリカの人口約15億人のうち60%以上が25歳未満の若年層で、スマートフォンの普及とインターネット接続の拡大により、2024年だけでも約3,200万人の新規ゲームプレイヤーが誕生したと推定されています。
レティ・アーツは2013年にガーナ出身のCEOエイラム・タウィア氏とケニア出身のCTOウェズリー・キリニャ氏が創業し、従業員25人のゲーム開発スタジオとしてアフリカの伝統に根ざした文化的で高品質なゲーム開発に注力しています。発表済みのゲームすべてでダウンロード数が90万件超、月間リアルタイムプレイヤー数は10万人を超えており、Microsoft、MTN、Vodafone、UNDP、WFP、Riot Games、8D Gamesなど60社以上と共同制作やコンサルティングを行っています。人材育成にも投資し、インターンシッププログラムでアフリカ全土から1,000人以上の若手クリエイターを育成してきました。
ガーナのゲーム産業現状について、アフリカ大陸には5億人以上のモバイルユーザーがおり、Android製品の手頃な価格での入手可能性もモバイルゲーム普及に貢献しています。ジャンル別にはエンドレスランナーゲームとパズルゲームが最もアクセスしやすく、物語ベースのRPGは特に若年層や女性ゲーマーの間で人気が高まっています。音楽、映画、ファッション業界との相乗効果も期待され、ノリウッド（ナイジェリアの映画産業）、アフロビート（西アフリカのポピュラー音楽ジャンル）といった文化現象が現在デジタルストーリーテリングに影響を与えています。
課題として、資金調達が依然として大きな問題で、多くのスタジオは個人資産、補助金、ボランティアに頼って運営しているのが実情です。インフラ問題では電力供給の不安定性、インターネット料金の高さ、高性能デバイスの入手困難があり、市場が54カ国にまたがって言語・通貨・規制枠組みが多様で細分化していることも課題となっています。
日本企業との協業機会について、日本のゲーム産業の物語の深み、アニメーションの芸術性、世界クラスの開発インフラの伝統を活かし、アフリカと日本のストーリーとビジュアルを融合させて文化的な正統性を保ちつつ世界中のプレイヤーに響くゲームの共同開発を目指したいとしています。また、現地の出版チャンネル向けのコンテンツ翻訳・適応により日本のゲームのアフリカ市場投入や、日本のゲーム開発者に新しいストーリーの枠組みや市場可能性を認知してもらう機会の創出も挙げられています。
記事は、アフリカのゲーム市場の急成長と若年層中心の人口構成が日本企業にとって大きなビジネス機会をもたらし、文化的融合による新たなコンテンツ創出の可能性が期待されると結論づけています。 EOF < /dev/null