総務省が策定した令和7年度の電気通信役務の安全・信頼性確保に係るモニタリング年次計画案で、デジタル社会の基盤インフラである電気通信サービスの安定性と信頼性を確保するための包括的な監視体制について詳細な実施方針を示した重要な政策文書です。本計画は、電気通信事業法に基づく安全・信頼性基準の遵守状況を継続的に監視し、国民生活と経済活動に不可欠な通信サービスの品質維持を図ることを目的としています。
モニタリングの対象範囲について、全国の電気通信事業者約1,700社のうち、利用者数や社会的影響度を考慮して選定された約200社を重点監視対象としています。サービス分野別では、移動通信サービス（携帯電話・スマートフォン）、固定通信サービス（光ファイバー・ADSL）、インターネット接続サービス、専用線サービス、クラウドサービス等が対象となります。特に、5G商用サービスの本格展開に伴い、5G基地局の設備状況と通信品質についても重点的な監視を実施します。
重大事故の定義と報告体制では、「30分以上かつ3万人以上の利用者に影響する通信障害」を重大事故として位置づけ、事業者に対して発生から30分以内の第一報、24時間以内の詳細報告を義務付けています。令和6年度の重大事故発生件数は47件（前年度52件）と減少傾向にありますが、クラウドサービス障害やサイバー攻撃による障害が増加傾向にあります。
設備の安全・信頼性基準の監視項目として、停電対策（予備電源設備の容量・稼働状況）、自然災害対策（耐震・耐風・耐雪性能）、セキュリティ対策（不正アクセス防止・マルウェア対策）、設備の冗長化（バックアップ回線・予備設備）、保守体制（24時間監視・緊急対応体制）等について定期的な検査を実施します。
新技術・新サービスへの対応として、5G・6Gネットワーク、IoT機器の大量接続、エッジコンピューティング、量子通信等の新技術についても安全・信頼性基準の策定と監視体制の整備を進めます。特に、自動運転、遠隔医療、スマート工場等の重要なアプリケーションを支える通信インフラについては、より厳格な品質基準の適用を検討しています。