国土交通省が公表した令和7年5月分の港湾統計速報で、日本の主要港湾における外国貿易貨物の動向について月次データを分析した重要な物流統計です。本統計は、日本の国際物流の動向と経済活動の水準を把握する基礎資料として、政策立案と民間事業者の経営判断に広く活用されています。
主要6港のコンテナ取扱実績について、5月の外国貿易貨物コンテナ個数は1,171,328TEU(20フィートコンテナ換算個数)となり、前年同月比で4.1%増加しました。これは、製造業の生産回復と輸出の持ち直しを反映したものです。港別では、名古屋港が最も多く約28万TEU(前年同月比6.2%増)、次いで東京港約26万TEU(3.8%増)、横浜港約22万TEU(2.9%増)となっています。
輸出入別の動向では、輸出コンテナが約58万TEU(前年同月比5.7%増)、輸入コンテナが約59万TEU(2.6%増)となり、輸出の伸びが輸入を上回っています。これは、円安効果による輸出競争力の向上と、海外経済の回復による需要増加が寄与しています。
貿易相手国・地域別では、中国向けが最も多く約34万TEU(全体の29%)を占め、前年同月比3.2%増となりました。次いで米国向け約18万TEU(15%、前年同月比7.8%増)、東南アジア向け約16万TEU(14%、前年同月比4.5%増)となっており、主要市場での取扱量が堅調に推移しています。
品目別の分析では、輸出品目として自動車・同部品が最も多く約12万TEU、次いで機械類約9万TEU、化学製品約7万TEUとなっています。輸入品目では、衣類・繊維製品が最も多く約8万TEU、食料品約7万TEU、雑貨約6万TEUの順となっており、消費財の輸入が安定的に推移しています。
物流効率化の取り組み状況では、AI・IoTを活用したコンテナターミナル運営の高度化が進んでおり、主要港湾でのゲート処理時間が平均約15%短縮されています。また、カーボンニュートラルポート(CNP)の形成に向けた取り組みも本格化しており、荷役機械の電動化や再生可能エネルギーの導入が加速しています。