アフリカにおける日本のポップカルチャーの可能性を探る特集として、ナイジェリアを拠点とするアニメーションスタジオ、クガリ・メディアの代表取締役社長兼出版部門責任者トルワラキン・オロウォフォイェク氏へのインタビューを紹介したものです。
クガリ・メディアは2015年に設立され、2024年にウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオと共同で制作したオリジナル長編アニメシリーズ「イワジュ」で国際的評価を獲得しました。同社は出版、クリエーティブサービス、IP開発の3つの事業でマネタイズしており、ディズニー・パブリッシング・ワールドワイド社と共同で児童書出版ブランド「クガリ・インク」を立ち上げています。
ナイジェリアでは日本アニメの美的感覚が人気を集めており、「NARUTO-ナルト-」や「ONE PIECE」「BLEACH」などの定番作品に加え、「僕のヒーローアカデミア」や「チェンソーマン」「鬼滅の刃」も親しまれています。アニメキャラクターのコスプレをした若者がラゴス・コミック・コンベンションに参加する姿も目立っています。日本アニメの人気の理由として、オロウォフォイェク氏はストーリー性とビジュアルの独創性を挙げており、米国のカートゥーンとは異なるキャラクターや背景描写、ビジュアルセンスの違いが影響していると分析しています。
ナイジェリアのクリエーティブ産業については、市場が若いため流通経路や適切な収益構造が整備されていないという課題がある一方、人口2億3,000万人の本国に加えディアスポラ(在外ナイジェリア人)の存在により巨大な潜在市場があると指摘しています。海賊版問題も、コンテンツの入手困難さに起因するものであり、クランチーロールの月額利用料が1,000ナイラ(約97円)と安価に設定されていることから、プラットフォームの認知度向上により解決可能だと分析しています。
日本との協業可能性について、オロウォフォイェク氏は世界配給可能なアニメーションの共同制作を理想として挙げ、アフリカの共同制作者が日本に渡航して学ぶプログラムの必要性を提案しています。アフリカの作品をグローバル市場に引き上げるためには世界標準のクオリティーが不可欠であり、日本の支援によりアフリカのアーティストやストーリーのレベルアップが期待できると述べています。ナイジェリア人の最大の強みは粘り強さと創造性であり、照明技術や編集、カラー補正など細部の技術向上により、双方が恩恵を受ける協業連携が可能だと結論づけています。