世界経済の潮流2025年Ⅰ 第1章第2節:中国の景気動向

2025年第1四半期の中国経済は実質GDP成長率5.4%を記録し、全人代目標の5%程度は上回ったものの、自律的景気回復には至っていない。成長構造は消費・投資の伸び悩みにより輸出依存型となっており、消費寄与度は3%ポイントを下回る低水準が継続している。

政策効果と限界:「両新」政策(大規模設備更新と消費財買換え推進)により3,000億元の超長期特別国債を投入し、新エネルギー車補助金を最大2万元に拡充、家電製品に販売価格の15%補助を実施。対象品目では消費増加が見られるものの、全体の消費押し上げ効果は限定的で、小売総額の伸びは2025年1-4月平均で前年同月比5%程度と、感染症拡大前の平均9.7%を大きく下回っている。

構造的課題:不動産開発投資は前年同期比10.3%の大幅減少、70都市平均住宅価格は下落継続。雇用面では都市部調査失業率5.1%と目標を下回るも若年失業率上昇が懸念される。消費者信頼感は2022年春の上海ロックダウン以降継続的に100を下回り、雇用指数は72.4と低水準横ばい。

物価・通商環境:消費者物価は2025年2月前年比0.7%減とゼロ近傍のマイナス圏継続、生産者物価は2022年10月から2年以上連続下落。米中関税問題では4月に相互100%超の追加関税が課されたが5月に90日間の暫定引下げ合意。対米輸出は4月に34.5%減と大幅減少したが、ASEAN向け等多角化により全体輸出は増加基調維持。

政策対応:政府は財政赤字対GDP比を3%から4%に拡大、地方特別債発行枠を3.9兆元から4.4兆元に増額。金融政策では2008-2010年以来の「適度に緩和的」スタンスを採用し、政策金利0.1%pt引下げ、預金準備率0.5%pt引下げを実施。金融政策枠組み改革では7日物リバースレポ金利への一本化を進め、MLF金利は政策金利機能から退出。

中国経済は各種政策効果により部分的改善が見られるものの、内需の脆弱性、不動産市場低迷、物価下落圧力、外部環境の不確実性等の構造的課題により、自律的景気回復には時間を要すると予想される。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。

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