【内閣総辞職の経緯】 フランス国民議会(下院)は2025年9月8日、フランソワ・バイルー首相が提出した内閣信任案を反対多数(信任194票、不信任364票)で否決した。バイルー首相は翌9日にエマニュエル・マクロン大統領に辞表を提出し受理された。マクロン大統領は「数日以内に新しい首相を任命する」と発表し、新内閣成立まではバイルー内閣が暫定内閣として職務継続する。
【予算法案と政治対立】 バイルー首相は8月25日、大幅な歳出削減を柱とした2026年政府予算法案提出に向け、下院で信任を問う方針を表明していた。国民に大きな節減を求める予算法案に対し野党勢力から強い批判が高まり、下院で過半数を持たないバイルー内閣の退陣は確実視されていた。投票では極右「国民連合」、極左「不服従のフランス」、穏健左派「社会党」、環境派、共産党に加え、連立を組む中道右派「共和右派」議員の一部も不信任票を投じた。
【後任人事・政治混乱継続】 後任候補にはセバスチャン・ルコルニュ軍事相、カトリーヌ・ボートラン労働相、グザビエ・ベルトラン議長らの名前が挙がっている。下院第1党「国民連合」のマリーヌ・ルペン氏は下院解散を要求し、マクロン政策路線からの脱却を主張。同様の政治混乱が続く可能性を示唆している。