総務省が26GHz帯及び40GHz帯における第5世代移動通信システムの利用に関する調査結果を公表したものです。
調査の背景と目的
総務省は、5Gの更なる普及と高度化に向けて、ミリ波帯の活用を推進しています。令和7年3月27日に情報通信審議会の新世代モバイル通信システム委員会が「第5世代移動通信システムの技術的条件(26GHz帯/40GHz帯)」に関する報告案を取りまとめたことを受け、実際の利用ニーズを把握するための調査を実施しました。調査期間は令和7年5月19日から6月18日までの約1か月間で、26GHz帯または40GHz帯における5Gの利用を希望する事業者を対象に実施されました。
調査結果の概要
本調査に対しては9件の回答が提出されました。回答企業には通信事業者、機器メーカー、サービス事業者などが含まれると考えられます。各者の具体的な回答内容は別紙として公表されており、それぞれの事業者が想定する利用シナリオ、技術的要件、導入時期などが記載されています。回答数は限定的ですが、ミリ波帯5Gの実用化に向けた産業界の関心と具体的なニーズが示されています。
ミリ波帯5Gの技術的特徴
26GHz帯と40GHz帯は、現在主流のSub6帯(3.7GHz帯、4.5GHz帯など)と比較して、より高速・大容量な通信が可能です。理論上の最大通信速度は20Gbpsを超え、低遅延性も1ミリ秒以下を実現できます。一方で、電波の直進性が強く、障害物による減衰が大きいため、カバレッジエリアは限定的になります。このため、スタジアムや工場など、特定のエリアでの高密度・高品質な通信サービスの提供に適しています。
想定される利用シーン
ミリ波帯5Gの活用が期待される分野として、製造業におけるスマートファクトリー、エンターテインメント分野でのVR/ARコンテンツ配信、医療分野での遠隔手術支援、自動運転車両の高精度制御などが挙げられます。特に、ローカル5Gとしての活用により、企業や自治体が独自の5Gネットワークを構築し、それぞれのニーズに特化したサービスを提供することが可能になります。
今後の展開と政策対応
総務省は、本調査の結果を踏まえて、26GHz帯及び40GHz帯の周波数割当てや技術基準の策定など、必要な制度整備を進める予定です。また、令和7年4月25日に公布された電波法及び放送法の一部を改正する法律により、周波数の効率的な利用を促進する新たな枠組みも整備されました。これらの取組により、日本における5Gの更なる高度化と、それを活用した新たなサービスの創出が期待されています。
記事は、ミリ波帯5Gの実用化に向けて、産業界のニーズ把握と適切な制度整備が重要であり、今後も継続的な検討が必要であると結論づけています。