令和7年7月末の特殊詐欺認知・検挙状況
警察庁は令和7年7月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等を公表した。認知件数は前年同期比+44.9%の大幅増となる15,583件、被害額は前年同期比+153.9%増の722.1億円となり、深刻な増加傾向を示している。
手口別認知状況の詳細分析
オレオレ詐欺: 認知件数7,655件(前年同期比+182.3%)、被害額558.9億円(+294.9%)で最も深刻な増加を記録。全体の約半数を占める主要手口となっている。
預貯金詐欺: 認知件数1,111件(前年同期比-13.5%)で減少傾向だが、被害額は12.7億円を維持。
架空料金請求詐欺: 認知件数3,237件(+7.0%)、被害額76.5億円(+7.9%)で安定した増加。
還付金詐欺: 認知件数2,071件(-15.9%)、被害額38.9億円(+4.2%)。件数は減少も被害額は増加の傾向。
検挙状況と対策効果
検挙件数は3,525件(前年同期比+11.4%)、検挙人員は1,180人(+10.7%)となり、捜査活動が強化されている。しかし認知件数の増加率(+44.9%)に検挙率の向上が追いついていない状況が判明。
被害金交付形態の変化
振込型被害が依然として主要な交付形態で、7月単体では現金手交型、キャッシュカード手交型・窃取型が増加傾向を示している。特に暗号資産送信型の被害が新たな懸念要因として注目されている。
高齢者被害の深刻化
65歳以上の高齢者被害が特に深刻で、オレオレ詐欺では女性被害者の99.0%、預貯金詐欺では女性の83.0%が高齢者となっている。キャッシュカード詐欺盗では男性79.7%、女性98.7%が高齢者被害者となり、高齢者を狙った犯罪の組織化・巧妙化が進んでいる。