日本銀行静岡支店が2025年7月に公表した静岡県金融経済の動向について分析したものです。
静岡県内の景気は一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復しており、2025年6月短観では企業の業況感が概ね横ばいとなっています。最終需要の動向では、公共投資が高水準で推移(74か月連続同評価)、設備投資が製造業を中心に増加(25か月連続同評価)、個人消費が物価上昇などの影響がみられるものの緩やかに増加(6か月連続同評価)している一方、輸出と住宅投資は弱含んでいます。個人消費の詳細では、百貨店・スーパー販売額とコンビニエンスストア販売額が緩やかに回復、ドラッグストア販売額が増加(50か月連続同評価)、家電販売額が緩やかに回復、新車登録台数が持ち直している一方、旅館・ホテルの宿泊者数は人手不足等の影響を受けつつも緩やかに回復していた評価から横ばい圏内の動きに変更されました。
生産面では横ばい圏内の動きとなっており、業種別では自動車・同部品と食料品・化学が横ばい圏内、電気機械が持ち直し、二輪車・同部品、はん用・生産用・業務用機械、紙・パルプ、楽器が弱めの動きとなっています。雇用・所得環境は緩やかに改善しており(20か月連続同評価)、消費者物価(除く生鮮食品)は前年比+3.4%と前年を上回っています。企業倒産(負債総額10百万円以上)は概ね感染症拡大前の水準となっています。
金融面では預金が前年を上回り、貸出も前年を上回っており、貸出約定平均金利(総合・ストックベース、地銀・第二地銀)は前月比上昇しています。具体的に5月の実質預金末残は前年比+1.3%、貸出末残は前年比+2.0%となっています。6月の企業倒産は件数23件(前年比+76.9%)、負債総額28億円(前年比+116.1%)となっています。
記事は、静岡県経済が緩やかな回復基調にある一方、輸出や住宅投資の弱さ、観光分野での人手不足の影響など一部に課題が残ることを示しています。