国際政策 第81回IMF・世界銀行年次総会 片山財務大臣総務演説(令和8年10月16日 於:バンコク)
概要
演説は、地政学的緊張や貿易制限などで不確実性が高まる世界経済の現状と、日本の経済財政運営を説明し、IMF・世界銀行グループ(WBG)に期待する役割を示す。IMFには融資、能力開発、ガバナンス改革などの強化を、WBGには開発効果や民間資金動員、保健、重要鉱物、インフラなどへの取組を求めた。さらに、債務透明性・再編や国内資金動員をめぐる両機関の連携を促し、日本の支援・貢献方針を表明した。
要点
- 世界経済の不確実性や構造課題に対応し、経済成長と財政の持続可能性を両立する必要がある。
- IMFに、融資・能力開発などの機能強化とクォータ・ガバナンス改革を求めた。
- WBGに開発効果の向上や民間資金動員、保健・重要鉱物・インフラ分野の取組を期待した。
- 債務課題や国内資金動員をめぐり、IMF・WBGと他の国際機関との連携を促した。
概要
演説は、地政学的緊張や貿易制限によるサプライチェーンへの悪影響など、世界経済が高い不確実性とリスクに直面していると述べる。中東情勢はエネルギー供給・物流に影響し、重要鉱物の恣意的な輸出規制も下方リスク要因とされる。
技術革新、激甚化・頻発化する自然災害、人口動態の変化などの構造課題への対応と経済の強靱化が必要とし、日本は国・地方の総債務残高対GDP比を安定的に低下させることなどを通じ、成長と財政の持続可能性を両立させる方針を示した。
影響
ライフサイクルコストを踏まえた質重視の調達は、借入国における開発効果及び持続可能性の向上に資すると述べた。
詳細
IMFには、グローバル・インバランスや非市場的政策・慣行が世界経済に及ぼす影響の分析、低所得国・脆弱国向け融資を支えるPRGTの持続的・効果的な実施、地域金融取極との協力、能力開発の強化を期待した。日本はPRGTなどへの自発的資金貢献を継続する。また、クォータ計算式の見直しや責任ある貢献の反映を含め、機能強化とガバナンス改革を一体的に進めるよう求めた。
WBGにはOne WBGアプローチ、MDB間連携、民間資金動員の拡大を求め、調達制度改革の継続を歓迎した。保健分野ではUHCナレッジハブやパンデミック基金を通じた取組を期待し、日本は母子保健・栄養支援のためGFFに4,000万ドルを新規拠出すると表明。重要鉱物では国別戦略やRISE+を通じた案件形成、MIGAの保証機能拡充を後押しし、質の高いインフラ、防災、エネルギー安全保障の案件形成も促した。
両機関には、債務データ共有や債務再編の迅速化、中所得国への再編、国内資金動員の支援で連携を求めた。日本は技術支援を続け、世銀とインドネシアで進める債権・債務データの自動突合の成果普及を期待する。結びでは、日本が両機関の改革議論を主導し、人的貢献も行う方針を示した。