日豪関係の歴史的経緯と現状を分析し、ミドルパワーとしての両国が「ルールに基づく国際秩序」の維持において果たすべき役割を論じたものです。
主要なポイント
1. 日豪関係の歴史的転換
- 第2次大戦後、メンジー豪首相が「日本に対する敵意は去るべきだ」と述べ関係再開を主導
- 2014年安倍首相が豪州議会で「寛容の精神と友情」に感謝を表明
- 2022年10月「安全保障協力に関する日豪共同宣言」で緊急事態時の相互協議・対応措置検討を明記
- 日本にとって豪州は「特別な戦略的パートナー」「準同盟国」の位置づけ
2. 経済的相互依存関係
- 豪州から見て日本は2番目の輸出相手国、3番目の輸入相手国
- 日本にとって豪州は3番目の輸入相手国
- 日本の資源輸入:石炭の3分の2、LNGの3分の1、鉄鉱石の60%が豪州から
- 豪州からの輸出上位:石炭(39%)、天然ガス(30%)、鉄鉱石(9%)
- 日本からの輸出上位:乗用車(41%)、商用車(9%)、精製油(9%)
- 日本の対豪州貿易赤字は約4倍だが問題視されず(相互補完関係)
3. 共通の戦略的課題
- 両国とも「法の支配」を重視する民主主義国家
- 西太平洋に位置し、中国の一方的な現状変更の動きに直面
- 中国の軍事費は日本の6倍、豪州の10倍
- 中国の経済規模は日本の4倍、豪州の10倍
- 2020年豪州がCOVID-19独立調査を求めた際、中国が経済的威圧を実施
4. 人的交流の深さ
- 2023年の在留邦人数:豪州は3位の10万人(1位米国41万人、2位中国10万人)
- 豪州の人口規模を考慮すると極めて多数
- 留学の人気と資源・インフラ分野での日本企業の投資が要因
- シドニー大学と地経学研究所の共同ワークショップで官民連携の重要性を確認
5. ミドルパワーとしての役割
- 大国ではないが小国でもない日豪は「ルールに基づく国際秩序」維持に影響力を発揮可能
- CPTPPの中心メンバーとして、EUなど価値共有国への拡大で重要な役割
- 米国の一方的な追加関税に対して共同で対応する必要性
- 中国等の経済的威圧に対する相互支援(保険機能)と共同対抗措置(反撃機能)の枠組み整備
- ハブ&スポークを超えた格子状の防衛システムの一環として日豪防衛協力強化
6. 今後の課題と提言
- 日豪戦略コミュニティ間の相互理解不足が防衛協力深化の壁
- 防衛装備移転には豪州側の装備需要の的確な把握が不可欠
- 新政策導入時の事前の企業との意見交換の重要性(サプライズ回避)
- グローバルリスク(地政学的・環境的リスク、核拡散、WTOルール無視等)への共同対処
記事は、かつて敵であった日豪が今や最良の友人となったことを踏まえ、協力すれば両国に超えられないハードルはないと結論づけています。