財務省が2025年6月28日に公表した「グローバル・ミニマム課税に関するG7声明」について、国際的な税制協調の進展と日本の対応を包括的に示したものです。
主要なポイント
1. G7声明の発出と国際協調の強化
- 2025年6月27日(金)及び29日(日)にG7財務大臣・中央銀行総裁会議で合意
- グローバル・ミニマム課税の実施に向けたG7各国の協調姿勢を明確化
- 英語版及び日本語訳を財務省ウェブサイトで同時公表、透明性を確保
- OECD/G20「BEPS包摂的枠組み」での2021年10月合意から約4年での実装段階到達
2. グローバル・ミニマム課税制度の概要
- 年間総収入7.5億ユーロ(約1,208億円)以上の多国籍企業グループが対象
- 各国における実効税率が15%を下回る場合、その差額を課税する仕組み
- 約140の国・地域が参加するOECD中心の国際合意に基づく制度
- 税源浸食と利益移転(BEPS)への対抗措置として機能
3. 日本の制度整備完了と実施体制
- 2023年度税制改正で所得合算ルール(IIR)を法制化、国際最低課税額に対する法人税を創設
- 2025年度(令和7年度)税制改正で軽課税所得ルール(UTPR)等を追加法制化
- 適格国内ミニマムトップアップ税(QDMTT)も導入し、包括的な制度体系を構築
- これにより日本におけるグローバル・ミニマム課税の導入が完了
4. 制度導入の経済的意義と効果
- 各国間の法人税引下げ競争に歯止めをかける効果を期待
- 多国籍企業間の公正な競争条件を確保、税制の歪みを是正
- 日本企業の国際競争力の維持・向上に寄与する環境整備
- 税収の適正な配分により各国の財政基盤強化に貢献
5. G7各国の実施状況と協調体制
- G7各国が順次国内法制化を進め、実施段階に移行
- 実施時期や技術的詳細についての調整を継続的に実施
- 二重課税の回避と制度の円滑な運用に向けた協力体制を構築
- 非参加国への働きかけも含めた国際的な制度普及を推進
6. 今後の課題と展望
- 制度の実効性確保に向けた国際的な執行協力体制の強化
- デジタル経済への課税(第1の柱)との整合性確保と同時実施
- 企業のコンプライアンスコスト軽減に向けた制度の簡素化
- アジア・太平洋地域での制度普及におけるG7のリーダーシップ発揮
記事は、グローバル・ミニマム課税がBEPS対策の中核として国際的な税の公正性確保に重要な役割を果たし、G7が引き続き国際税制協調のリーダーシップを発揮していくことを示しています。