日本政策金融公庫総合研究所が2025年7月に公表した「第132回中小製造業設備投資動向調査」の結果概要关于報告。
本調査は、従業員20~299人の中小製造業5万5,633社を母集団とし、層化無作為抽出法により選定した3万社を対象に2025年4月に実施されました。7,298社から有効回答を得て、回答率は24.3%でした。調査では、2024年度の設備投資実績と2025年度の当初計画について、投資額、業種別動向、投資目的、投資内容、海外投資動向などの観点から分析しています。
2024年度の国内設備投資額の実績は3兆421億円と、2023年度実績比で8.4%増加し、3兆円を超えたのは1997年度以来27年ぶりの高水準となりました。業種別では、全17業種中12業種で増加し、特に「木材・木製品」(45.0%増)、「業務用機械」(42.6%増)、「繊維・繊維製品」(41.3%増)が高い増加率を示しました。
一方、2025年度の当初計画額は2兆7,954億円と、2024年度実績比で8.1%減少する見通しです。米国の関税政策の影響に対する懸念から、先行きの不透明感が強まっています。業種別では12業種で減少予定で、特に「金属製品」(-21.4%)は、米国の関税政策相关的不安から大幅な減少が見込まれています。「生産用機械」と「窯業・土石」は3年連続のマイナスとなる見通しです。
投資目的別では、2024年度実績で「更新、維持・補修」(37.2%)が最も高く、次いで「能力拡充」(25.1%)となりましたが、能力拡充は14年ぶりの低水準でした。2025年度計画では「更新、維持・補修」がさらに上昇し(37.8%)、前向きな投資への慎重姿勢が鮮明になっています。投資内容別では、2025年度計画で「機械・装置」の構成比が57.3%に上昇する一方、「土地」(5.2%)や「建物・構築物」(30.7%)は低下する見込みです。
海外投資については、海外拠点を持つ企業の設備投資実施割合が2024年度実績で23.5%から2025年度計画で27.7%に上昇する見通しです。地域別では中国向けが5年ぶりに増加した一方、タイは縮小傾向が続いています。海外投資の目的は「現地・第三国の需要開拓」(41.1%)が最も高く、「取引先の海外展開への対応」(30.4%)は3年連続で低下しています。
この調査結果は、中小製造業が老朽化対応など必要最低限の投資は継続しつつも、米国の関税政策などによる先行き不透明感から、能力拡充などの前向きな投資には慎重になっている実態を示しています。