文部科学省が実施した令和6年度社会教育調査の中間報告で、全国の社会教育施設の設置・運営状況と利用実態について詳細な調査分析を行った重要な教育統計です。本調査は、全国の都道府県・市町村が設置する社会教育施設約85,000箇所を対象とした悉皆調査で、生涯学習社会の基盤整備状況を把握する基礎資料となっています。
施設数の変動状況について、令和6年10月1日現在の社会教育施設総数は84,267箇所となり、前回調査(令和3年度:85,012箇所)から745箇所減少しました。施設種別では、公民館が13,450箇所(前回:13,751箇所、▲301箇所)、青少年教育施設が682箇所(前回:751箇所、▲69箇所)、社会体育施設が58,234箇所(前回:58,923箇所、▲689箇所)と減少傾向が続いています。
一方で増加している施設として、図書館が3,365箇所(前回:3,308箇所、+57箇所)と過去最多を更新し、博物館が5,738箇所(前回:5,690箇所、+48箇所)、生涯学習センターが1,798箇所(前回:1,789箇所、+9箇所)となっており、学習・文化機能を重視した施設が拡充されています。
図書館の詳細分析では、市町村立図書館が2,847箇所と全体の84.6%を占め、人口1万人当たりの図書館数は2.7箇所となっています。蔵書数は全国で約4億3,200万冊(前回:約4億1,800万冊、+3.3%)と着実に増加しており、電子書籍の導入館も1,456館(全体の43.3%)と前回の28.7%から大幅に拡大しています。年間利用者数は約2億8,400万人と前回を上回り、1館当たり平均利用者数は約84,400人となっています。
博物館の運営状況では、歴史博物館が最も多く1,678館(全体の29.2%)、次いで美術博物館1,142館(19.9%)、郷土博物館986館(17.2%)となっています。年間入館者数は全国で約2億1,500万人と前回調査を上回り、特に科学博物館や自然史博物館での体験型展示の充実により、子どもや家族連れの利用が増加しています。デジタル技術を活用した展示(VR・AR等)を導入している館は全体の23.8%となり、前回の12.4%から大幅に増加しています。