法務省が実施した令和6年度行政手続等の悉皆調査結果で、全府省庁における行政手続のデジタル化推進状況と国民の利便性向上に向けた取り組み実態について包括的な調査分析を行った重要な行政改革文書です。本調査は、政府全体のデジタル・ガバメント推進の進捗状況を定量的に把握し、今後の政策改善に向けた基礎資料として活用されます。
調査概要について、全府省庁(内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省等)が所管する約12,000件の行政手続を対象に、デジタル化の実施状況、利用者の利便性、処理期間の短縮効果等について詳細な調査を実施しました。
デジタル化の進捗状況では、オンライン化が完了した手続きが全体の78.6%(前年度72.3%)となり、6.3ポイント改善しました。特に、国税関係手続き(95.2%)、社会保険関係手続き(89.7%)、法人設立関係手続き(92.1%)で高い完了率を達成しています。一方、許認可手続き(65.4%)、補助金関係手続き(58.9%)では依然として改善の余地があります。
利用者の利便性向上効果として、オンライン手続きを利用した国民・事業者の満足度は平均83.2%と高水準を維持しています。具体的な改善効果では、「窓口への来庁が不要」(92.7%)、「24時間いつでも申請可能」(88.4%)、「書類作成時間の短縮」(76.8%)、「審査結果の迅速な通知」(71.5%)が主な評価点として挙げられています。
処理期間の短縮効果については、デジタル化された手続きの平均処理期間が従来の紙ベース手続きと比較して約42%短縮されています。特に顕著な短縮効果が見られるのは、法人設立登記(従来21日→現在3日)、在留資格変更許可(従来45日→現在18日)、建設業許可(従来120日→現在65日)等です。
府省別の取り組み状況では、デジタル化推進に積極的な府省として経済産業省(完了率89.3%)、総務省(85.7%)、財務省(84.2%)が上位を占める一方、伝統的な手続きが多い府省では完了率が相対的に低い傾向にあります。