最新GDP速報の概要
経済社会総合研究所（ESRI）が2025年9月8日に公表した「2025年4-6月期四半期別GDP速報（2次速報）」は、日本経済の最新動向を示す重要な統計である。2015暦年連鎖価格による実質ベースの分析と名目ベースの分析を包含している。
四半期GDP成長率の動向
2025年4-6月期（前期比）: 実質GDP成長率は0.5%、名目GDP成長率は1.6%を記録した。これは日本経済の緩やかな回復基調を示すものであり、デフレーターの上昇も反映している。実質成長率は年率換算では約2.0%の水準に相当する。
年次GDP成長率（2024年度・前年度比）: 実質GDP成長率は0.7%、名目GDP成長率は3.7%となった。名目成長率が実質成長率を大幅に上回っており、物価上昇の影響が顕著に現れている。
四半期GDP実額の推移
2025年4-6月期の実額: 実質GDPは564.3兆円（2015年連鎖価格）、名目GDPは635.1兆円となった。実質と名目の差額は約70兆円で、価格上昇の影響を示している。
2024年度の年次実額: 実質GDPは558.7兆円、名目GDPは615.9兆円を記録した。四半期ベースと比較すると、経済規模の着実な拡大傾向が確認できる。
統計整備と国際基準への対応
ESRIでは2025SNAへの対応準備や2015年基準改定の継続実施など、統計制度の整備を進めている。特に統計改革への対応として、四半期速報の精度向上や年次推計の充実化に取り組んでいる。主要統計データはCSV形式での時系列データ提供も行われ、研究・分析での活用が促進されている。
関連統計・調査の公表状況
固定資本ストック速報、家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報、SNA産業連関表などの関連統計も継続的に公表されており、日本経済の多面的な分析が可能な統計体系が整備されている。民間企業投資・除却調査や地方公共団体消費状況等調査の結果も併せて公表され、経済構造の詳細な把握に貢献している。