林野庁森林整備部が令和6年度に実施した、国内人工林における再造林の実態に影響を与える要因を分析し、再造林率向上に向けた課題を整理した調査報告書です。
本調査では、全国の人工林における主伐後の再造林実施状況について、地域別・樹種別・所有形態別の詳細な分析を行い、再造林が進まない要因を多角的に検証しています。調査結果として、木材価格の低迷、造林費用の高騰、林業従事者の高齢化・減少、所有者の経営意欲の減退などが主要な阻害要因として確認されています。
地域別の分析では、中山間地域における再造林率が平地部に比べて大幅に低く、特に急傾斜地や奥地での再造林実施率は30%を下回る地域も見られることが明らかになっています。樹種別では、スギの再造林率が比較的高い一方、ヒノキやカラマツでは地域により大きな格差があることが判明しています。
所有形態別では、国有林や公有林では計画的な再造林が実施されているものの、私有林では所有者の高齢化や後継者不足により再造林が停滞している実態が浮き彫りになっています。特に小規模な私有林では、経済的負担の大きさから再造林を断念するケースが多く、造林未済地の増加要因となっています。
課題解決に向けた提言として、造林コストの削減、木材価格の安定化、技術支援体制の充実、所有者への経営支援強化などが挙げられています。また、一貫作業システムの導入、低密度植栽技術の普及、早生樹の活用など、省力化・低コスト化技術の導入促進が重要であることが示されています。
記事は、再造林率向上のためには技術的対策と制度的支援の両面からの総合的なアプローチが必要であり、持続可能な森林経営の実現に向けた具体的な方策を提示していると結論づけています。