林野庁森林整備部が造林の省力化・低コスト化技術について、調査報告書やパンフレットなどの資料を体系的にまとめた技術情報の総合ページです。
令和6年度には、造林の省力化・低コスト化技術の導入・普及のため、全国各地で行われた実証や取組の成果を体系的に整理し、長官通知「造林に係る省力化・低コスト化技術指針」及び整備課長通知「造林に係る省力化・低コスト化技術指針の解説」として公表されました。併せて事例集も作成され、実践的な技術導入の手引きとして活用できる内容となっています。
一貫作業システムでは、造林経費の大半を占める地ごしらえ及び植栽から下刈りまでの経費の低コスト化を進めるため、平成26年度から平成29年度にかけて調査を実施しました。低コスト造林のポイントとなる「一貫作業システムの導入」「コンテナ苗」「下刈り回数削減」「シカ被害軽減」「再造林コスト予測」について、ノウハウや留意事項等が整理されています。また、伐採と地拵えの一体化による効果検証のため、平成26年度から平成28年度の事例集が作成されています。
低密度植栽については、平成27年度から令和元年度にかけて調査を実施し、令和2年度から令和3年度の追跡調査結果を踏まえ改訂が行われました。スギ、ヒノキ、カラマツの低密度植栽試験地を全国に設け、樹種別・地域別の植栽密度による成長状況などの違いの検証や成林の確実性、コスト削減効果、病虫獣害、下刈り終了の可否判断の基準などに関する知見を得て、「スギ・ヒノキ・カラマツにおける低密度植栽のための技術指針」として取りまとめています。
下刈りの省力化では、下刈り・地拵えの機械化や大苗等の活用による下刈り作業の省力化について調査を行い、「下刈り作業省力化の手引き」を2023年3月に発行しています。林業の持続的な発展のためには主伐後の再造林の確実な実施が不可欠である一方、下刈りなどの造林作業は人力に頼る部分が多く、作業の機械化等による省力化・低コスト化の推進が重要とされています。
早生樹利用では、平成29年度から平成31年度に調査を実施し、令和3年度の追跡調査結果を踏まえ改訂を行いました。用材生産が可能な樹種のうち、各地域で植栽が進んでいるセンダン、コウヨウザンの2樹種について、植栽適地や密度、獣害対策等に関する調査を行い、「早生樹利用による森林整備手法ガイドライン」を作成しています。
その他の取り組みとして、造林未済地の再造林や荒廃農地の植林について優良な取り組み事例を取りまとめた事例集、革新的造林モデル事例集、森林研究・整備機構による研究報告等のリンク集なども整備されており、造林コストの低減や労力の削減に向けた包括的な情報提供が行われています。
記事は、森林整備を効率的・効果的に進めるための技術情報と実践事例を体系的に整理し、現場での技術導入を支援する重要な情報基盤として機能していると結論づけています。