狭山金型製作所、超微細金型技術で世界に挑む～LinkedIn×展示会で拓く販路：地域・分析レポート

埼玉県入間市の狭山金型製作所は、米粒より小さな微細精密成型用金型の設計から量産まで一貫生産を手掛ける金型メーカーである。1964年創業の同社は、医療分野、光学・電子機器、半導体部品など幅広い分野で2,200型以上の金型を製作してきた。2023年に社長に就任した大場総一郎氏は、海外マーケティングを本格化。特に医療用カテーテル金型に特化し、製品開発の初期段階から設計支援を行うコンサルティング型の取引に転換したことで、2024年度の海外売上は前年比2倍を達成した。同氏は2024年12月からLinkedInを活用した情報発信を開始。展示会情報や製品紹介、製造現場の様子などを毎日投稿し、1日当たり6,000～7,000件のインプレッションを獲得している。「自分でネットワークを手繰り寄せるしかない」と語り、LinkedInでつながった企業との商談を積極的に展開。7月末には米国で20社との商談を計画するなど、認知度向上に成功している。同社の強みは、高品質と量産性を両立させた技術力にある。中国企業が安価な試作品を提供した案件でも、精度と量産体制を評価され、倍の価格で受注を獲得。「ジャパンクオリティーは誇らしく、小型化を得意とする当社の強みは海外でも負けない」と自信を示す。また、「チーム入間」など国内100社との連携体制を構築し、自社で対応できない加工は外部と補完し合うことで、日本のモノづくりの競争力強化を目指している。大場氏は「モノづくりの現場は日本にあるべき」との理念を持ち、海外生産拠点の設立ではなく、国内の製造拠点と匠の技術の維持・発展を重視。次世代への事業承継を見据え、地域に根ざしながら世界とつながる姿勢を示している。