和光代表取締役社長の庭崎紀代子氏は、銀座の象徴的存在である和光を「和光ブランド」として確立し、世界に向けて日本の美意識を発信する取り組みを進めている。コロナ禍で経営的に厳しい状況に直面したことをきっかけに、和光の存在意義を根本から見直し、単なる小売店ではなく「和光」という一つのブランドになることを目指すようになった。
庭崎氏は、和光をブランド化するための3つの重要な要素として、「日本の美意識へのリスペクト」「クラフトマンシップ」「サスティナビリティ」を挙げている。オリジナル商品の比率を高め、世界中から訪れる顧客に対して、ここでしか買えない価値を提供することを重視している。
2022年に本館は「SEIKO HOUSE」と改称され、セイコーブランドの発信拠点としての機能を強化。2024年には地階を「アーツアンドカルチャー」フロアとしてリニューアルし、樹齢1000年を超える霧島杉を時計の針に見立てた「時の舞台」というコンセプトで、作家や職人と直接対話できる唯一無二の空間を創出した。
庭崎氏は、銀座四丁目という象徴的な場所に1店舗のみ運営することの強みを生かし、日本のものづくりや美意識、文化を世界に向けて発信していく考えを示している。また、若い世代へのメッセージとして、失敗を恐れずポジティブに挑戦することの大切さを語り、「10割打者はいない。1割でも2割でもヒット商品を出せればいい」という楽天的な姿勢で仕事に取り組むことを勧めている。