国土交通省が令和6年度の都市鉄道混雑率調査結果を公表し、三大都市圏の平均混雑率が増加したことを報告したものです。
調査結果によると、首都圏、中京圏、近畿圏の三大都市圏における朝ピーク時の平均混雑率は前年度から上昇し、新型コロナウイルス感染症の影響で大幅に低下していた鉄道利用が回復傾向にあることが確認されました。首都圏では主要路線で混雑率150%を超える区間が複数存在し、特に東京メトロ東西線や小田急小田原線などで高い混雑率が記録されています。
路線別の詳細分析では、テレワークの定着により従来のピーク集中が若干分散化されているものの、全体的な利用者数の回復に伴い混雑が再び深刻化していることが明らかになりました。特に都心部へのアクセス路線では、混雑率180%を超える区間も見られ、利用者の快適性や安全性の観点から課題となっています。
地域別では、首都圏の混雑率が最も高く、次いで近畿圏、中京圏の順となっています。首都圏では東京都心部への一極集中が混雑の主要因となっており、近畿圏では大阪市中心部、中京圏では名古屋市中心部への通勤需要が混雑を生み出しています。一方、地方都市圏では依然として利用者数の回復が限定的な状況が続いています。
国土交通省では、この調査結果を踏まえ、鉄道事業者に対して混雑緩和策の強化を要請しています。具体的には、時差出勤の推進、車両増結、運行本数の増加、ホームドアの設置促進などの対策が検討されています。また、デジタル技術を活用した混雑情報の提供や、需要分散を促すインセンティブ制度の導入も提案されています。
記事は、ポストコロナ時代における都市鉄道の課題が新たな局面を迎えており、働き方の変化を踏まえた持続可能な交通システムの構築が重要な政策課題となっていることを示しています。