国土交通省が「空飛ぶクルマの離着陸場(バーティポート)のあり方-機能と分類-中間とりまとめ」を公表したものです。
この中間とりまとめは、次世代モビリティとして注目される空飛ぶクルマ(eVTOL:electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)の社会実装に向けて、離着陸場であるバーティポートの技術的要件や運用基準を検討したものです。2025年の大阪・関西万博での実用化を目指し、安全性と利便性を両立した施設基準の策定が進められています。
バーティポートの分類では、設置場所や機能に応じて都市部型、郊外型、災害対応型の3つのカテゴリーに区分されています。都市部型は高層ビルの屋上や駅前などのアクセス性を重視した立地、郊外型は観光地や医療施設との連携を想定した立地、災害対応型は緊急時の物資輸送や人員搬送に特化した機能を持つ施設として位置づけられています。
技術的要件では、離着陸エリアのサイズ、充電設備の仕様、気象観測システム、管制システムとの連携、騒音対策、安全対策などの詳細な基準が示されています。特に都市部での運用を想定し、騒音レベルを既存のヘリポートより大幅に低減することや、自動化された管制システムによる効率的な運航管理が重要な要素として挙げられています。
運用面では、パイロットの資格要件、整備体制、緊急時対応手順、利用者の安全確保など、包括的な運用ルールの整備が検討されています。また、既存の航空法や建築基準法との整合性を図りながら、新しいモビリティに適した法制度の整備も並行して進められています。
記事は、空飛ぶクルマという革新的な交通手段の実現に向けて、インフラ整備から制度設計まで総合的な検討が行われており、日本が次世代モビリティ分野での国際競争力を確保するための基盤づくりが進んでいることを示しています。