農林水産省が令和7年7月に公表した「外食・食文化・食ロスをめぐる情勢」について、日本の外食産業の現状、食文化の継承、食品ロス削減の取り組みを多角的に分析したものです。
本資料では、外食産業の市場規模が約25兆円(令和6年)とコロナ前の水準をほぼ回復し、特にファストフード業態が好調である一方、居酒屋業態は依然として厳しい状況にあることを示しています。人手不足が深刻化しており、有効求人倍率は3.2倍と全産業平均の2倍以上となっています。これに対し、配膳ロボットやセルフオーダーシステムなどのDX化により、省人化と顧客満足度向上の両立を図る動きが加速しています。
食文化の継承については、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて10年が経過し、海外での日本食レストラン数は約18万7千店(前年比7%増)に達しています。一方、国内では若年層の和食離れが進んでおり、20代の味噌汁摂取頻度が10年前と比べて30%減少するなど、伝統的な食文化の継承が課題となっています。学校給食や食育活動を通じた和食文化の普及促進が重要性を増しています。
食品ロス削減については、日本の食品ロス量が年間523万トン(令和5年度)と、前年度から24万トン減少し、削減目標(2030年度に489万トン)に向けて着実に進展していることが報告されています。外食産業では、小盛メニューの導入、持ち帰り容器の提供、AIを活用した需要予測による仕入れ最適化などの取り組みが拡大しています。また、フードバンク活動も活発化しており、年間取扱量は前年比20%増の約1万5千トンに達しています。
記事は、外食産業が日本の食文化を支える重要な役割を担っており、デジタル技術の活用と持続可能性への配慮を両立させながら、新たな価値創造を図る必要性を示しています。