輸出税率の恒久的引き下げ アルゼンチン政府は、大豆、トウモロコシ、グレーンソルガム、ヒマワリなどの主要農産品の輸出税率を再び引き下げた。今回は期間を設定しない恒久的な引き下げとして実施された。7月31日付で公布され、翌日に施行された政令526/2025号により、トウモロコシとグレーンソルガムは12％から9.5％に、ヒマワリは7.0％から5.5％に、ヒマワリ関連品は5.5％から4.0％に引き下げられた。
大豆輸出税の大幅削減 最も大きな変更は大豆で、輸出税率が33.0％から26.0％に大幅に引き下げられた。大豆関連品も31.0％から24.5％となった。一方、大麦と小麦は変更なく、引き続き9.5％となっている。また、牛肉と鶏肉の輸出税率も6.75％から5.0％に引き下げられた。これらの税率変更により、アルゼンチンの主要輸出品の競争力向上が期待される。
政策の背景と目的 政府は2025年1月にも同様の輸出税率引き下げを実施していたが、6月末まで期間を限定し、7月1日以降は小麦と大麦を除いて税率が引き上げられていた。今回の政令では「現政権は、マクロ経済を安定させ、国内生産を発展させるため、生産や貿易に有利な条件を整える必要があると認識している」「生産者、加工業者、輸出業者に対して確実性をもたらすことが目標」と説明している。
専門家の見解と課題 マクリ政権時代に農業庁長官を務めたリカルド・ネグリ氏によると、輸出税率の引き下げは生産拡大を促す非常に良い決定で、生産者のリスクが軽減されるという。しかし、輸出税は国の歳入全体の約8％を占め、地方政府への分配対象外であることから連邦政府の貴重な財源となっており、代替が容易ではないと指摘する。同氏は、このような制度の存在がアルゼンチンの農産物の生産や輸出を大きく損なっていると分析している。ミレイ政権は、全品目に対する輸出税の完全撤廃を目指すとしている。