ジェトロが紹介したエジプトの次世代経営者によるイノベーションへの取組と日本への期待について、現地企業経営者へのインタビューを通じて明らかにしたものです。
エジプトは、人口1億人を超える中東・アフリカ地域の大国として、近年急速なデジタル変革を進めています。特に、若い世代の経営者たちは、伝統的なビジネスモデルからの脱却を図り、テクノロジーを活用した新たな事業展開に積極的に取り組んでいます。本レポートでは、フィンテック、Eコマース、アグリテック、ヘルステックなど様々な分野で活躍する若手経営者たちの声を紹介しています。
フィンテック分野では、銀行口座を持たない国民が約70％を占める中、モバイル決済やデジタルウォレットサービスが急成長しています。ある経営者は、「エジプトの金融包摂を実現するには、既存の銀行システムを飛び越えた革新的なアプローチが必要」と語り、ブロックチェーン技術を活用した送金サービスを展開しています。政府も「キャッシュレス・エジプト」構想を推進し、規制緩和を進めています。
アグリテック分野では、ナイル川流域の農業の効率化と持続可能性向上が課題となっています。ドローンやIoTセンサーを活用した精密農業、AIによる作物の病害診断システムなどが導入され始めています。「日本の農業技術、特に節水技術や品質管理ノウハウは、水資源が限られたエジプトにとって極めて重要」という声が多く聞かれました。
日本への期待として最も多く挙げられたのは、技術移転と人材育成での協力です。「日本企業の品質へのこだわりと、長期的視点でのパートナーシップ構築は、エジプト企業が学ぶべき点が多い」という意見が共通していました。また、日本の中小企業が持つニッチな技術や、製造業のノウハウへの関心も高く、合弁事業や技術ライセンシングの機会を模索する動きが活発化しています。
記事は、エジプトの次世代経営者たちが、自国の課題解決と経済成長の両立を目指し、日本との協力に大きな期待を寄せていることを示しています。