本レポートは、財務省が作成した地方公共団体向け財政融資に関する財務状況把握ハンドブックの令和7年7月改訂版について、その内容と活用方法を示している。
このハンドブックは、財政融資資金の貸し手である国が、借り手である地方公共団体の財務状況を的確に把握し、適切な融資判断を行うための指針として作成されている。改訂版では、最新の地方財政制度の変更を反映するとともに、財務分析の手法がより実践的な内容に更新されている。
主な内容として、地方公共団体の財務諸表の読み方、財政指標の分析方法、将来負担の推計手法、公営企業会計の分析、第三セクター等の経営状況の把握方法などが詳細に解説されている。特に、実質公債費比率、将来負担比率などの健全化判断比率の算定方法と評価基準が明確に示されている。
また、財務状況把握の実施に当たっては、定量的な財務分析だけでなく、地域の経済情勢、人口動態、公共施設の老朽化状況など、定性的な要因も総合的に勘案することの重要性が強調されている。このハンドブックは、地方公共団体の財政担当者にとっても、自団体の財務状況を客観的に評価し、財政健全化に向けた取組を進める上で有用な資料となっている。