ドローン配送拠点整備促進事業費補助金の交付決定
国土交通省は2025年8月18日、令和7年度「ドローン配送拠点整備促進事業費補助金」について、応募案件5件に対する交付決定を行ったと発表した。交付決定総額は約98百万円となっており、離島や山間部等における物流課題の解決とドローン物流の社会実装推進を目的とした重要な支援事業である。
補助事業の背景と目的
この補助事業は、日本全国の離島や山間部等で深刻化している物流の担い手不足と物流需要の減少に対応するために創設された。これらの地域では高齢化や人口減少により従来の陸上輸送による物流サービスの維持が困難となっており、新たな配送手段としてドローン活用への期待が高まっている。国土交通省では平時からの地域物流網の維持・確保とともに、災害時における陸上輸送への代替輸送手段確保を重要な政策目標として位置づけている。
募集・選定プロセスの概要
補助事業の募集は令和7年5月15日から6月20日まで実施され、全国の地方公共団体や物流事業者等から応募を受け付けた。募集期間中に寄せられた応募案件について、事業の実効性、地域への貢献度、技術的実現可能性、費用対効果等を総合的に評価し、最終的に5件の事業が採択された。採択された事業は地域特性や物流課題に応じた多様な取り組み内容となっている。
支援対象となる事業内容
この補助金が支援するのは、地方公共団体・物流事業者等が連携して実施するラストワンマイル配送の効率化事業である。具体的には、従来のトラック等による陸上輸送とドローン配送を効果的に組み合わせた新しい物流システムの構築が対象となっている。この組み合わせにより、従来アクセスが困難だった地域への確実な物資輸送と、配送コストの削減及び配送時間の短縮を実現することが期待されている。
社会実装に向けた意義と期待される効果
今回の交付決定により、ドローン物流の社会実装が大きく前進することが期待される。採択された5事業では実証的な取り組みを通じて、技術面・運用面・制度面での課題解決と知見蓄積が行われる予定である。これらの成果は他の地域への横展開モデルとしても活用可能であり、全国的なドローン物流普及の基盤となる。また災害時の緊急物資輸送体制強化により、地域の防災・減災能力向上にも寄与することが見込まれ、地域住民の安全・安心確保と地域経済の持続性向上が図られる。