エチオピア首相府は8月28日、同国の戦略的投資機関エチオピア・インベストメント・ホールディングス(EIH)とナイジェリアのダンゴテ・グループが尿素肥料工場を建設する協定に署名したと発表した。投資総額は25億ドルで、40カ月以内の完成を予定している。
完成すれば年間最大300万トンの生産能力を持つ世界最大級規模の尿素肥料工場となる。国営通信社エチオピアン・ニュース・エージェンシーによると、同工場はエチオピア・ソマリ州のゴデに建設され、カルブ・ヒララガス田から天然ガス供給を受ける。年間約10億ドルの肥料輸入に依存する同国にとって、今回の工場建設で輸入代替効果が期待される。
アビィ・アフメド・エチオピア首相は「このプロジェクトは数千人の雇用を創出し、長年の課題だった肥料供給を確保し、食料主権への決定的な一歩となる」と意義を強調した。ダンゴテ・グループ代表のアリコ・ダンゴテ氏は協定署名式で「肥料生産を3年でゼロから300万トンに到達するのは容易ではないが、エチオピアには天然ガスという原料と先見性のあるリーダーシップがある。尿素だけでなく、あらゆる種類のNPK(窒素・リン酸・カリウム)肥料を生産し、エチオピアを輸入国ではなく純輸出国にする」と述べた。
同グループは既にナイジェリアで世界第2位の規模の肥料工場を運営しており、今回のエチオピア進出により大陸規模での肥料生産体制を構築する。エチオピアにとっては食料安全保障の向上と輸入代替による外貨節約、雇用創出の効果が期待される大型投資案件だ。