APLセミナー Matthew McCartney氏(African School of Economics-Zanzibar):South Asia and Africa: A Puzzle of Contemporary Urbanization

アジア経済研究所(IDE-JETRO)が2025年8月21日に開催したAPLセミナー(アジ研パワーランチセミナー)では、African School of Economics-ZanzibarのMatthew McCartney氏が「South Asia and Africa: A Puzzle of Contemporary Urbanization」をテーマに、南アジアとアフリカの都市化における現代的課題について包括的な分析を発表した。

世界的都市化の現状と課題

世界の都市人口は2018年の42.2億人から2050年には66.8億人への増加が予測され、この増加の95%が南半球諸国で発生する見込みである。歴史的には、GDP成長と都市化は同時進行し、1980年以降の中国のような経済成長加速期には都市化も急速に進展してきた。都市は工業化と経済成長の推進力として機能し、人口密度による集積効果が経済的便益をもたらすという理論的・実証的根拠が確立されている。

アフリカの都市化パラドックス:工業化なき都市化の構造的問題

しかしアフリカでは1970年代以降、都市化と工業化の関連性が断絶している重大な問題が発生している。アフリカは他の発展途上地域と比較して著しく貧困な状況下で都市化が進行しており、必要なインフラ整備資金が不足している。この結果、アフリカの都市は感染症(劣悪な水・衛生・衛生管理による伝染病への暴露)、犯罪、渋滞という三重苦に直面している。特に深刻なのは、アフリカの都市人口の60%がスラムに居住し、住民が日常的に交通渋滞で数時間を費やしている現実である。

南アジアの都市化停滞:中所得国としての期待水準との乖離

一方、南アジアでは相対的に緩慢な都市化率が問題となっている。パキスタンの事例では、2023年から2030年の期間に都市人口が9,380万人から9,940万人(総人口比38.8%から40.7%)へと微増にとどまる予測で、中所得国として期待される都市化水準を大幅に下回っている。この緩慢な都市化は、南アジア地域の主要なマクロ経済問題である構造変化(工業化)の遅延、生産性成長の停滞、イノベーション・高度化の欠如、雇用創出の遅れと密接に関連している。

都市化格差の要因分析:5つの決定要因

McCartney氏の研究では、アフリカの急速な都市化と南アジアの緩慢な都市化という対照的なパターンを説明する要因として、「都市引力」(Urban Pull)、「農村押出力」(Rural Push)、「建設容易性」(Ease of Building)、「比較優位」(Comparative Advantage)、「相対的農村貧困」(Relative Rural Poverty)の5つのメガトレンドを特定している。これらの要因の相互作用が地域間の都市化格差を生み出している。

政策的含意と持続可能な都市化への提言

研究成果は、政策立案者が急速で持続可能かつ経済的に生産性の高い都市化を促進する方法論を構築する上で重要な示唆を提供している。特にアフリカでは工業化と連動した都市化戦略、適切なインフラ投資、スラム改善プログラムの実施が急務である。南アジアでは都市化促進政策、産業立地政策、農村から都市への労働力移動を支援する制度整備が必要とされる。

本セミナーは開発経済学における都市化研究の最前線を示し、地域特性に応じた都市化政策の重要性を明確化した重要な学術的貢献である。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。

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