ジェトロが報告したトルコの自動車産業について、2024年の生産は7％減少したものの販売は6％増加し、輸出も微増という複雑な市場動向を分析したものです。
2024年のトルコ自動車生産台数は約126万台で、前年比7％減となりました。この生産減少の主な要因は、半導体不足の継続、原材料価格の高騰、そして国内のインフレ圧力による生産コストの上昇です。一方で、国内販売は約94万台で前年比6％増加し、特に電気自動車（EV）とハイブリッド車（HEV）の販売が大幅に伸びました。
EV販売は前年比120％増の約4万8000台、HEVは85％増の約12万台を記録しました。この急成長の背景には、政府による購入補助金、特別消費税の減免、充電インフラの整備などの支援策があります。また、国産EVブランド「TOGG」の本格販売開始も市場活性化に寄与しました。TOGGは、トルコ初の国産EVメーカーとして2023年に生産を開始し、2024年には約2万台を販売しています。
輸出については、約76万台で前年比1.5％の微増にとどまりました。主要輸出先であるEU市場の需要減速が影響していますが、中東・北アフリカ市場向けは好調を維持しています。トルコは地理的優位性を活かし、欧州、アジア、中東・アフリカの3大市場へのアクセスが可能な生産拠点として、引き続き重要な位置を占めています。
日系メーカーの動向では、トヨタ、ホンダ、マツダが現地生産を継続しており、特にトヨタはハイブリッド車の生産を拡大しています。また、部品メーカーも含めた日系企業の投資は堅調で、EVシフトに対応した新たな投資計画も発表されています。
今後の展望として、トルコ政府は2030年までに年間生産能力を200万台に拡大し、そのうち100万台をEVとする野心的な目標を掲げています。また、バッテリー生産を含むEVサプライチェーンの国内構築も進められており、地域のEV生産ハブとしての地位確立を目指しています。
記事は、トルコ自動車市場が内燃機関車からEVへの転換期にあり、この変化が日系企業にとって新たな事業機会となる可能性を示唆しています。