日本銀行が2025年7月10日に公表した地域経済報告(さくらレポート)について、全国9地域の景気判断と需要項目別の経済動向を報告したものです。
主要なポイント
1. 全国9地域の景気総括判断
- すべての地域で景気は「緩やかに回復」「持ち直し」「緩やかに持ち直し」と判断
- 前回(2025年4月)と比較して全9地域が「不変」、景気判断に変更なし
- 「一部に弱めの動きがみられる」との表現を含む地域:北海道、北陸、関東甲信越、近畿、九州・沖縄の5地域
- 特に北陸地域は「復旧復興関連工事等により大幅に増加」と能登半島地震からの復興需要を反映
- 支店長会議に向けて収集された情報をもとに作成
2. 公共投資の動向
- 北海道、東海:「高水準で推移している」
- 北陸:「復旧復興関連工事等により大幅に増加している」(能登半島地震関連)
- 関東甲信越:「緩やかに増加している」
- 中国:「高水準で推移している」
- 東北、四国:「持ち直している」
- 九州・沖縄:「増加している」
- 近畿:「横ばい圏内で推移している」(唯一の横ばい判断)
3. 設備投資と個人消費の状況
- 設備投資:8地域で「増加している」、北海道のみ「緩やかに増加している」
- 北陸は「緩やかな増加基調にある」、九州・沖縄は「高水準で推移している」
- 個人消費:物価上昇の影響を受けつつも、全地域で回復・増加基調
- 関東甲信越:「インバウンド需要による押し上げ効果もあって、緩やかに増加」
- 北海道、九州・沖縄:「物価上昇の影響を受けつつも、堅調に推移」
4. 住宅投資と生産の動向
- 住宅投資:8地域で「弱めの動き」「弱い動き」「弱含み」と低調
- 北陸のみ「復旧需要等がみられており、緩やかに持ち直している」と例外的に改善
- 生産:横ばい圏内が主流(北海道、関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄)
- 関東甲信越:「米国の関税引き上げに伴う駆け込みの動きがみられる」と特記
- 東海のみ「増加基調にある」と好調
5. 雇用・所得環境の改善
- 全9地域で「緩やかに改善している」または「改善している」と判断
- 東北、九州・沖縄:「改善している」(他地域より改善度合いが強い)
- 他の7地域:「緩やかに改善している」
- 全国的に雇用・所得環境の改善が継続
- 地域間格差は小さく、全国的に底堅い雇用情勢
記事は、日本経済が地域差はあるものの全体として緩やかな回復基調を維持しており、特に設備投資と雇用・所得環境の改善が堅調である一方、住宅投資の弱さが共通の課題となっていることを示しています。