2025年7月の支店長会議における全国9地域の景気動向と、各国の通商政策が地域経済に与える影響について報告したものです。
主要なポイント
1. 全国9地域の景気総括判断
- すべての地域で景気は「緩やかに回復」「持ち直し」「緩やかに持ち直し」と判断
- 2025年4月の前回会議と比較して、9地域すべてが総括判断を維持
- 北海道、北陸、関東甲信越、近畿、九州・沖縄の5地域は「一部に弱めの動きがみられる」との評価
- 東海地域は「緩やかに回復している」と最も堅調な判断
2. 各国の通商政策の影響(設備投資・価格設定)
- 設備投資では不確実性の高まりから投資の先送り・見直しを検討する動きが発生
- 一方でIT関連需要の拡大期待に基づく能力増強投資は積極的なスタンスを維持
- 競争優位性の高い製品では海外での関税分の価格転嫁が進展
- その他製品では海外販売先と関税分の転嫁について交渉中の企業が多数
3. 輸出・生産への影響と先行き懸念
- 関税引き上げを見越した駆け込み需要とその反動減の動きが報告
- 米国の設備投資スタンス消極化による資本財受注の下振れを指摘
- 現時点では影響は総じて限定的にとどまるとの報告が多数
- 先行きは米国での販売価格引き上げや世界経済減速による需要減少を懸念
4. 賃金設定と雇用情勢
- 幅広い業種・規模の地域企業で今年度も高水準の賃上げを実施
- 人材係留・確保のための賃上げが全国的に継続
- 通商政策の影響で企業収益が下振れた場合、冬季賞与減額の可能性を指摘する企業も存在
- 人手不足感が強い企業は来年度も継続的な賃上げが必要との認識
5. 個人消費の二極化とメリハリ消費
- 都市部百貨店の高額品販売は免税売上が低調も国内富裕層需要は堅調
- 観光・宿泊や外食等のサービス消費は引き続き堅調に推移
- 米などの食料品価格上昇を背景に日常消費では節約志向が顕著
- イベント関連消費は堅調でメリハリ消費の動きが継続
記事は、地域経済が全体として回復基調を維持しているものの、各国の通商政策による不確実性が企業の投資判断や価格設定に影響を与え始めていることを示しています。