経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に向けて、今後必要となる能力や活用促進策について検討した研究会の中間とりまとめです。
主要なポイント
1. キャリアコンサルティングを取り巻く環境変化
- 少子高齢化による就業構造変化、仕事に対する価値観や生活スタイルの多様化、職業人生の長期化
- 企業では人材の最適配置やエンゲージメント向上を通じた自律的人材の育成が求められる
- DXやAI技術の進展により労働需要が大きく変化、必要とされるスキルも急激に変化
- 労働者の「キャリア自律」(主体的な能力開発と必要に応じた労働移動)が不可欠に
2. 今後のキャリアコンサルティングに必要な能力
- 環境変化対応能力:「解決型」支援から「開発型」支援への転換、労働者の自己洞察を促す面談能力
- 情報活用能力:労働市場、職種・スキル、教育訓練、支援制度等の最新情報を把握・活用する能力
- マッチング支援能力:単なる労働移動先の提示でなく、労働者と企業双方への働きかけによる条件再調整
- 企業内支援能力:経営層との連携、セルフ・キャリアドック導入支援、組織課題解決への提案能力
3. キャリアコンサルタントの現状と課題
- 令和7年3月末時点で約8万人が登録、活動領域は企業約4割、需給調整機関約2割、教育機関約2割
- 登録者の約3割はキャリアコンサルティング関連活動を行っていない
- 企業が実施しない理由の最多は「労働者からの希望がない」だが、実際は認知不足が原因
- 活動領域ごとに求められる能力を体系的に身につける仕組みが不足
4. 今後の能力開発と活用促進の方向性
- 経済社会情勢の変化に応じた講習内容の適切な更新
- キャリアコンサルタントの成長道筋の明確化と活動領域・レベルに応じた講習体系
- 具体的な活用事例や意義・効果の広範な周知、成果の可視化・定量化指標の活用
- 職業能力開発促進法の措置の現場実践促進、専門性の高い業種に精通した人材の活躍促進
記事は、キャリア自律促進のための取組みの普及により、キャリアコンサルティングの定着・発展が期待されると結論づけています。