近畿地域における企業の設備投資動向について分析した調査結果を報告したものです。
調査は2025年7月3日を期日として実施され、近畿地域（大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県）に本社を置く企業および近畿地域に投資を行う域外企業を対象として、資本金1億円以上の民間企業について包括的な設備投資動向調査が実施されました。調査内容は2024年度の設備投資実績と2025年度の設備投資計画を工事ベースの金額で集計し、近畿地域の多様な産業構造と商業・文化の中心地としての特性を反映した分析が行われています。
近畿地域の産業構造の特徴を踏まえ、製造業、商業・サービス業、情報通信業、金融業、観光業、物流業などの幅広い分野について投資動向が分析されています。特に大阪・関西万博（2025年）の開催を控え、インフラ整備、観光関連施設の建設、交通システムの近代化などに向けた大型設備投資が活発化していることが確認されており、万博効果を活用した地域経済の活性化が期待されています。
製造業分野では、医薬品・医療機器製造業、化学工業、機械工業、電機・電子機器製造業、食品製造業などでの設備投資が活発化しており、特にバイオテクノロジー、再生医療、創薬などのライフサイエンス分野での投資が急拡大していることが報告されています。また、デジタル技術を活用した生産システムの高度化や、環境配慮型製造プロセスの導入に向けた投資も大幅に増加していることが明確化されています。
商業・サービス業では、大阪・関西万博に向けた商業施設の建設・改修、ホテル・宿泊施設の整備、エンターテイメント施設の拡充などの投資が大規模に展開されており、国際的な商業・観光拠点としての機能強化が図られていることが確認されています。
情報通信業では、データセンターの建設・拡張、5G通信インフラの整備、デジタルコンテンツ制作設備の充実などの投資が活発化しており、関西地域の情報通信産業の競争力向上が進展していることが報告されています。
物流業では、関西国際空港、大阪港、神戸港などの国際物流拠点機能を活用した物流施設の建設・拡張、自動化・効率化設備の導入、コールドチェーン対応施設の整備などの投資が増加しており、アジア太平洋地域との物流ネットワークの強化が図られていることが明確化されています。
地域経済への波及効果として、設備投資による大規模な雇用創出、関連産業の集積促進、国際的な企業・人材の誘致、文化・観光資源の活用促進などの効果が期待されており、近畿地域の持続的発展と国際競争力の向上に重要な役割を果たしていることが示されています。
記事は、日本の商業・文化の中心地である近畿地域の投資動向を把握する重要指標として、大阪・関西万博の成功と地域経済の発展戦略策定に不可欠な情報を提供していると評価しています。