経済産業省は2025年8月25日付けで北海道電力株式会社から提出された特定小売供給約款の変更届出を受理し、電力自由化制度の適切な運営と消費者保護の確保を図っています。この届出は、電気事業法に基づく重要な制度運営手続きとして、電力市場の透明性確保と公正な競争環境維持において重要な意義を有しています。
特定小売供給約款は、電力自由化以前から営業している旧一般電気事業者(みなし小売電気事業者)が、経過措置として低圧顧客に対して電気を供給する際の契約条件を定めた約款です。この約款は、電力自由化後も新電力会社への切り替えを行わない家庭や小規模事業者の電力供給を安定的に確保する「最終保障」機能として位置づけられています。
今回の変更届出は、2025年7月30日に北海道電力ネットワーク株式会社から届出があった託送供給等約款の変更を踏まえ、特定小売料金の変更等を実施するものです。託送供給等約款とは、送配電事業者が小売電気事業者に対して電気の託送供給を行う際の契約条件を定めたもので、その変更が小売料金に直接影響するため、適切な価格転嫁手続きが必要となります。
電力料金制度の観点では、原料費調整制度、再生可能エネルギー発電促進賦課金、託送料金等の各種費用要素が電気料金に適正に反映される仕組みの確保が重要です。特に、燃料価格高騰、円安進行、カーボンニュートラル対応投資等により電力原価が上昇傾向にある中で、消費者負担の適正性と事業者の経営安定性を両立させる料金設定が求められています。
消費者保護の観点では、電気料金の変更について十分な事前周知、分かりやすい料金体系の提供、低所得者等への配慮措置等が重要な政策課題となっています。また、電力小売自由化の進展により選択可能な料金メニューが多様化する中で、消費者が適切な選択を行えるよう情報提供の充実も求められています。
この届出受理により、北海道地域における電力供給の安定性確保、適正な料金水準の維持、電力自由化制度の健全な発展が期待されており、日本の エネルギー政策とカーボンニュートラル目標達成に向けた重要な制度運営として位置づけられています。