ジェトロが報告したガーナのアニメ産業について、現地発スタジオの取組を通じて、地場アニメ産業の成長における人材育成の重要性を分析したものです。
アフリカのアニメ産業は近年急速な成長を見せており、特にナイジェリア、南アフリカ、ケニアと並んでガーナも重要な制作拠点として台頭しています。ガーナのアニメスタジオ「アニメックス・スタジオ」は、2018年に設立された同国を代表するアニメ制作会社で、アフリカの物語をアフリカ人の視点で世界に発信することを使命としています。
同スタジオの創業者であるフランシス・ブラウン氏は、「アフリカには豊富な物語の素材があるが、それを映像化する技術とビジネスモデルが不足していた」と語ります。同社は、ガーナの民話や歴史を題材にしたオリジナルアニメシリーズを制作し、アフリカ各国のテレビ局やストリーミングサービスに配信しています。代表作の「アナンシの冒険」は、西アフリカの伝統的なクモの神様を主人公にした教育アニメで、15カ国以上で放送されています。
最大の課題は人材不足です。ガーナには体系的なアニメーション教育機関が少なく、多くのアニメーターは独学か海外での研修に頼っています。この状況を改善するため、アニメックス・スタジオは独自の研修プログラム「アニメ・ブートキャンプ」を立ち上げました。6か月間の集中訓練で、2Dアニメーション、3DCG、ストーリーボード作成などの技術を教え、これまでに150名以上の若手クリエイターを育成しています。
技術面では、クラウドベースの制作環境を積極的に活用しています。高価な制作機材を個別に購入する代わりに、クラウドレンダリングサービスやオンライン協業ツールを使用することで、初期投資を抑えつつ国際標準の品質を実現しています。また、フリーランスのアニメーターとのリモートワークも活用し、ガーナ国内だけでなくアフリカ各国の才能を結集しています。
日本との協力にも期待が寄せられています。「日本のアニメ制作のワークフローやプロジェクト管理手法を学びたい」とブラウン氏は語り、技術協力や共同制作の可能性を模索しています。また、アフリカ市場向けの日本アニメのローカライゼーションなど、相互利益となる協業機会も検討されています。
記事は、アフリカのクリエイティブ産業が人材育成を通じて着実に成長しており、国際的なコンテンツ市場において新たな供給源となる可能性を示しています。