フードテックビジネスのモデル実証事例集 令和6年度

本記事は、農林水産省の令和5年度・令和6年度フードテックビジネス実証事業に関する事例集で、株式会社パソナ農援隊が令和7年3月に作成したものである。世界的な人口増加による食料需要の増大やSDGsへの関心の高まりを背景に、食品産業においても環境負荷の低減など様々な社会課題の解決が求められている。また、健康志向や環境志向など消費者の価値観の多様化に対応し、フードテックを活用した新たなビジネス創出への関心が高まっている。国内でもフードテック分野の研究開発やスタートアップ企業による事業化の試みは拡大しているが、社会での利用実績が少ないこと、必要なデータの未整備、スケールアップのノウハウが確立されていないことなどから、事業化に至っていない事例が多い。本事業は、フードテック等を活用した技術の事業化のための実証を支援し、実証した成果の横展開等を行うことで、多様な食の需要への対応、食に関する社会課題の解決及び食品産業の国際競争力強化のための新たなフードテックビジネスの創出を図っている。実証事業の実施主体は、1）フードテック等を活用し新たな商品・サービスを生み出す食品事業者、流通事業者、製造事業者、情報関連事業者、大学等の研究機関、食育・栄養関係団体、コンサルタント、海外食品事業者等を構成員とするコンソーシアム、2）フードテック等を活用し新たな商品・サービスを生み出す単独の事業者、3）フードテック官民協議会の会員であることとしている。本事業におけるフードテックは、拡大する食料需要への対応と環境負荷低減の両立、国内の未利用資源を活用した食品の生産、高齢者など食の制約のある者も楽しめる食のバリアフリーの実現、科学的な栄養管理による健康増進など、多様な食の需要への対応や食に関する社会課題の解決のための新しい技術を指している。実証事例として20社が紹介されており、植物由来の代替タンパク質、昆虫食・昆虫飼料、ゲノム編集食品、細胞性食品、ヘルスフードテック（AI食・管理アプリ、アレルギー情報、減塩、介護食等）、食品ロス削減、アップサイクル等、スマート食品産業の分野で革新的な技術とビジネスモデルの実証が行われている。