全国における企業の設備投資動向について包括的に分析した調査結果を報告したものです。
調査は2025年7月3日を期日として実施され、全国の資本金1億円以上の民間企業を対象として、同種の調査としては国内最大規模となる設備投資動向調査が実施されました。調査対象企業数9,140社、回答企業数5,238社(回答率57.3%)という高い回答率を記録し、日本経済全体の設備投資動向を把握する最も信頼性の高いデータが収集されています。
調査内容は2024年度の設備投資実績と2025年度の設備投資計画を工事ベースの金額で集計し、業種別、地域別、企業規模別の詳細な分析が実施されています。設備投資額は土地や建設仮勘定を含む有形固定資産の計上額として算出され、日本の設備投資動向を正確に反映したデータとして位置づけられています。
製造業分野では、半導体関連産業、自動車関連産業、化学工業、機械工業、食品製造業などでの大型設備投資が活発化しており、デジタルトランスフォーメーション(DX)、脱炭素化、サプライチェーンの強靭化に向けた投資が急拡大していることが確認されています。特にAI・IoT技術の導入、自動化・省人化設備の導入、環境対応技術の実装などが投資の主要テーマとなっていることが報告されています。
非製造業では、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、不動産業、エネルギー産業などでの設備投資が大幅に増加しており、デジタル経済の進展、物流効率化、都市機能の高度化、再生可能エネルギーの普及などに対応した投資が活発化していることが明確化されています。
地域別分析では、首都圏を中心とした関東地域での投資規模が最大となっているものの、九州地域での半導体関連投資、北海道・東北地域でのエネルギー関連投資、中部地域での自動車関連投資など、各地域の特性を活かした投資が全国的に展開されていることが確認されています。
設備投資の目的別分析では、生産能力拡大、効率化・省力化、新製品・新技術開発、環境対応、安全対策、デジタル化対応などが主要な投資目的として挙げられており、日本企業の競争力強化と持続的成長に向けた戦略的投資が進展していることが示されています。
記事は、日本経済の設備投資動向を把握する最重要統計として、政府の経済政策立案、企業の投資戦略策定、金融機関の与信判断などに不可欠な基礎データを提供していると評価しています。