研究の創造性・効率性の最大化を目指し、全国的な共用研究設備ネットワークの構築方針について解説したものです。
主要なポイント
1. 長期的な目標と10年後の目指す姿
- 全国20程度の共用拠点を核とした「コアファシリティ・ネットワーク」を構築
- 研究設備・機器の共用ネットワークにより、全国の研究者が必要な設備にアクセス可能な環境を整備
- 共用を前提とした研究環境への転換により、研究の質の向上と効率化を実現
- 競争的研究費の使途を設備購入から利用料金計上へと変容させる仕組みを構築
2. 当面5年間の実施方針
- 令和7年度に文部科学省が委託調査を実施し、共用システムの情報一元化・見える化を推進
- コアファシリティ・ネットワークでは10年程度の共用研究設備等の整備・運用計画を作成
- 中核となる共用拠点は、統括部局のコアファシリティ化体制構築と先進的取組の実施が要件
- 技術専門人材の部局横断的な育成制度やキャリアパス構築への取組を必須化
3. 装置分野ネットワークの形成
- 分野横断的に汎用性が高く、国際競争力確保の観点から重要な装置分野を対象
- 最先端・国内有数の研究設備等の窓口一元化とユーザビリティ強化を推進
- ネットワーク内の研究ニーズを踏まえた試作機や1号機の試験導入を実施
- コアファシリティ・ネットワークとの連携・調整のための連絡会議設置が必要
4. 研究基盤強化のための産学連携推進
- 共用の場を活用した先端基盤技術・機器等の開発促進
- 研究ニーズや革新的アイデアに基づく新たな計測・分析技術開発を推進
- 機器メーカー等との連携による持続的な共用システムの構築を目指す
- 大胆な自動化・リモート技術導入による超効率的な研究環境モデルを構築
5. 市場動向と日本の課題
- 計測・分析機器の国内市場における日本企業のシェアは2021年時点で約10%
- 2018年から2021年の売上額成長率は米国・英国・フランス企業が15%前後を記録
- 1,000万円以上の研究設備等の数は金額規模毎の数に概ね相関
- コアファシリティ化が進んでいる研究大学等は20~30程度と推計
記事は、AI時代にふさわしい科学研究の革新に向けて、研究設備の共用化と技術専門人材の活用により、日本の研究力強化を実現する具体的な道筋を示しています。